ブルーサイプレスの香りと作用
おすすめの使い方
「ブルーサイプレス」という精油をご存じですか?
澄んだ青い色を持つことからブルーサイプレスと名付けられたこの精油は、2000年「シドニー五輪の香り」として採用されたことをきっかけに世界的に有名になりました。
アレルギー肌にいい「アズレンブルー」の「樹木の精油」とは、他にない珍しいもの。
今回は、ブルーサイプレスの基本的な情報とサイプレスとの違いを併せてご紹介していきます。
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ブルーサイプレスの原産地はオーストラリア
ブルーサイプレスはオーストラリア北部の乾燥地帯で育つ樹木。
別名、「オーストラリアヒノキ」とも呼ばれています。
アボリジニは昔からこの木を燃やして虫よけにしたり、鎮痛剤として利用していたといわれています。
硬い樹木でシロアリにも強いことから、オーストラリアでは木材としても幅広く利用されています。
甘みがあるウッディーな香りのブルーサイプレス
一般に知られているサイプレスと比較して、穏やかながら重たい印象。
微かにハチミツのような甘さが加わり、サイプレスよりサンダルウッドに似ています。
濃い青色が印象的なオーストラリアを代表する精油
オーストラリア産のブルーサイプレスから水蒸気蒸留法で抽出されます。
ほのかな甘みをもつ透き通った濃青色の精油で、この青色は「ガイアズレン(Guaiazulene)」という成分によるもの。
ブルーサイプレスは、樹木系唯一の「アズレンブルー」の精油としても注目されています。
青い精油には、のどの痛みを静める作用があるといわれていますが、ブルーサイプレスも例外ではありません。
優れた抗炎症、抗ウィルス作用を発揮します。
精油が作られたのは約40年前と比較的最近で、まだ日本では流通・使用例も少ないです。
粘性が高いため、アロマディフューザーで使いにくい場合はアルコールで希釈するとよいでしょう。
科名:ヒノキ科(ヒノキ科カリトリス属)
学名:Callitris intratropica
産地:オーストラリア
抽出部位:木部
精油製造法:水蒸気蒸留法
色:青色
主な成分:ガイアズレン、α‐ガイエン、α‐セリネン、ガイオール 他
利用方法:芳香浴法、沐浴法、吸入法、トリートメント法
【心への作用】安心感を与える香り
心を落ちつかせ、安心感を与えるといわれています。
やや癖があり好みがわかれるジャーマンカモミールと比較すると、深みと甘さのある樹木系のブルーサイプレスは、精神面の作用と期待しても使いやすいかもしれません。
ジャーマンカモミールも、瓶から直接嗅いだ時の香りと香りを部屋に拡散させたときの香りは異なり、淡く漂わせると結構よい香りなのですが、あまり香りで選ばれることはありません。
【体への作用】呼吸器系のケアにも
ガイアズレンの抗ウィルス作用・抗炎症作用により、咳やのどの痛みや炎症の緩和が期待できます。
鎮痛作用もあるため、関節、腹部の痛みを和らげるのにも役立ちます。
のどがいがいがするときには、蒸気吸入法を試してみましょう。
咳がひどい時は蒸気が刺激となってしまいますので、水蒸気を利用しない吸入法(乾気吸入法)や芳香浴にしましょう。
【肌への作用】かゆみ肌の強い味方
肌のむくみを取り、引き締める作用があります。
また、かゆみのひどい肌のケアにいいといわれています。
サイプレスとブルーサイプレスは全く異なる精油
サイプレスとブルーサイプレスは違う植物であり、抽出される精油の芳香成分・心身への作用も異なります。
ブルーサイプレス
学名:Callitris intratropica 抽出部位:木部 精油の色:青
サイプレス
学名:Cupressus sempervirens 抽出部位:枝葉と果実 精油の色:淡い黄色~無色
香りとしても、サイプレスは、清涼感があり森林浴をしているような清々しい香りのミドルノート。
一方、ブルーサイプレスははちみつのような甘さと豊潤さが加わり、落ち着いた印象のベースノートになります。
【ブレンドのコツ】柑橘系精油と好相性
香りのノート:ベースノート
香りの強弱:中
相性の良い精油:スイートオレンジ、クラリセージ、グレープフルーツ、サンダルウッド、ジュニパーベリー、ベルガモット、ベンゾイン、ラベンダー、レモン、ローズマリー など
ブルーサイプレスは特に柑橘系の精油とよく調和します。
実際に、灼熱のオリンピックとなったアトランタオリンピックで、アスリートたちがグレープフルーツとブルーサイプレスのブレンドをミストスプレーとして使用して好評だったために「シドニー五輪の香り」に採用されたそうです。
ブルーサイプレスに期待される主な作用
鬱滞(うったい)除去作用
抗アレルギー作用
抗ウィルス作用
抗炎症作用
殺菌作用
他
薬理作用について詳しくは下記ページにて解説しています。
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【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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ブルーサイプレスの使用にあたり気をつけること
妊娠中・授乳中は使用を控えましょう。
使用例が少ないためか情報が限られているのですが、個人的には、樹木系の精油でありアズレン誘導体を含むことから皮膚刺激の可能性があるのでは?と思っています。
肌へ使う場合は、低濃度から試すとよさそうです。
購入の際は信頼できるメーカーのものを選びましょう。
おわりに
樹木系唯一のアズレンブルーの精油
今回は、ブルーサイプレスについてご紹介しました。
かゆみのある肌のケアに優れた効果を発揮するアズレン誘導体・ガイアズレンを含む点はとっても魅力的。
なお、購入時は信頼できるメーカーで、学名など詳細を確認し選ぶようにしましょう。
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。