精油の薬理作用
芳香植物は、魅力的な香りで私たちをひきつけます。
各植物の個性の一つである精油は、植物がその種の生き残りをかけて作り出した物質です。
精油は数多くの芳香成分の混合体で、成分の一つ一つが薬理的な作用を持ち、さまざまな症状に効果を示します。
なお、精油は多くの人に同様の作用をもたらすこともあれば、個人により、または状況、体調に応じて異なる作用をもたらすこともあります。
精油がもたらす作用を知り、香りをきくことで自分の体と心と向き合い、精油、そして自分のコンディションに対し理解を深めていく…それもアロマテラピーの醍醐味です。
精油の薬理作用一覧
あ行
引赤作用:血液の量を増やして、局所(体の一部。ここでは塗布した部分)を温める。
トリートメントを行う際、十分なオイルを使用し摩擦がないにもかかわらず肌が赤くなることがあります。
これは引赤作用によるものです。
鬱滞除去作用:鬱滞とは、「ふさがりとどこおること」。つまり滞った体液(血液、リンパ液など)の流れを促す。
エストロゲン様作用:女性ホルモン(エストロゲン)に似た働き
か行
緩下作用:消化器や自律神経に働きかけて、腸の蠕動運動を促進し、便通を促す。便秘を解消する。
自律神経とは、内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールする神経です。
活動を活発にする「交感神経」とリラックスさせる「副交感神経」があり、二種類がシーソーのようにバランスをとって機能をコントロールしています。
緩和作用:自律神経や筋肉の緊張を解き、心と体を穏やかな状態にする。
機能亢進作用:神経や臓器の働きが滞ったときに、刺激を与えて活性化させる。
強肝作用:肝臓と胆嚢を強壮し、働きを高める。
肝臓は主に代謝・解毒を担当しています。
胆嚢は、肝臓でつくられた消化液(胆汁)をいったん溜めておくところです。
デトックスしたいときやアルコールをいただいた後、疲れているときには強肝作用を持つ精油が役に立ちます。
強心作用:心臓を強壮し働きを高める。
強壮作用:身体の各部や全身の機能・能力を活性化、向上させる。活力を高める。
強脾作用:脾臓を強壮する。
脾臓の働きは、主に古くなった赤血球を破壊、取り除くことです。
血液の若々しさを守っています。
去痰作用:粘液の過剰な分泌を抑えたり、痰を切れやすくして排出を促す。
駆風作用:胃や腸にたまったガスの排出を促し、腹部の張りや痛みを和らげる。
血圧降下作用:血圧を低下させる。
血圧上昇作用:血圧を上昇させる。
血流促進作用:血液循環を刺激し、血流を促進する。
解毒作用:体に入った毒素や代謝で生じた毒素を無毒化する、または排出を助ける。
健胃作用:胃の働きを高め、胃液の分泌を促進、食欲不振や消化不良といった不調を和らげ、健やかにする。
抗アレルギー作用:かゆみ、腫れ、粘液の過剰分泌、発熱などを引き起こす免疫の異常な亢進(アレルギー反応)を緩和、軽減すること。
抗ウィルス作用:ウィルスの増殖を抑制、またはウィルスに対する体の抵抗力を高めて、感染を防ぐ。
抗うつ作用:気分がふさぎ込んだり、精神活動が低下するなどの状態が楽になるよう働きかける。
抗炎症作用:炎症を抑え、症状を緩和。
抗カタル作用/粘液溶解作用:粘膜の炎症を鎮め、過剰な粘液を溶解し排出を促す。
抗菌作用:細菌(バクテリア/大腸菌や黄色ブドウ球菌など)の増殖を抑え、感染を防ぐ。
抗真菌作用:真菌(白癬菌やカンジダなど)の増殖を抑制、感染を防ぐ。
抗不安作用:不安をやわらげ、心の平安をもたらす。
高揚作用:リラックスさせ、精神や気分を高める。
昆虫忌避(忌避)作用:蚊や害虫といった昆虫を寄せ付けない。
さ行
催淫作用:リラックスさせ、性欲を強める。
細胞成長促進作用:細胞の成長を促す。
催眠作用:眠気を誘う。
殺菌作用:主に人体にとって有害な細菌(バクテリア)などの病原体と戦い、これを死滅させる。
殺真菌作用:真菌(糸状菌、酵母など)を死滅させる。
子宮強壮作用:子宮を強壮。
刺激作用:刺激活性し、機能を高め、エネルギーを増進させる。
脂肪溶解作用:体内の脂肪の燃焼を助ける。
収斂作用:緩んだ組織や皮膚を引き締めたり、過剰に分泌した皮脂や汗を取り去る。
浄化作用:毒素や不要なものを取り去り、元の綺麗な状態にすること。
食欲調整作用:正常な食欲になるよう整える。
消化促進作用:胃腸の蠕動運動や消化液の分泌を促し、消化活動を活発にする。
食欲増進作用:食欲を増進させる。
自律神経調整作用:自律神経のバランスを整える。
神経強壮作用:興奮を鎮める、神経を強壮し活力を与える。
頭脳明晰作用:脳の働きを刺激し、クリアにする。集中力を高める。
制淫作用:性欲を鎮める。
制汗作用;汗の出を減少させる。
精神安定作用:精神的に不安定な状態を安定させるよう働きかける。
制吐作用:嘔吐を抑制。
た行
代謝促進作用:体内で栄養素と酸素を燃やしてエネルギーを発生させ、生じた老廃物を排泄するという一連の反応を促す。
多幸:幸福感を高め、幸せな気持ちにする。
鎮咳作用:咳中枢を抑制して咳の反射を抑えたり、気道の粘膜に働きかけて咳を鎮める。
鎮痙作用:平滑筋の痙攣を鎮め、症状を和らげる。
鎮静作用:中枢神経の乱れによる興奮を鎮め、心身をリラックスさせ、気持ちを落ち着かせる。
鎮痛作用:脳内の痛みを感じる部位や体の各部の神経に働きかけて、痛みの感覚を鎮めたり、痛みを和らげる。
通経作用:月経を誘発し、周期を規則的にする。
デオドラント作用:においを消す。
は行
発汗作用:汗をかくこと。汗腺からの汗の分泌を高めることにより、体全体の新陳代謝を活性化させること。
瘢痕形成作用:傷の治りを早め、皮膚を滑らかにする。
瘢痕とは、外傷、手術、やけどの後などにみられる傷痕のことです。
皮脂分泌調整作用:過剰、もしくは少なすぎる皮脂のバランスを調整。
皮膚軟化作用:固くなった皮膚を鎮静し、柔らかくする。
賦活作用:機能を活発にする。
保湿作用:皮膚の潤いを保ち、乾燥を防ぐ。
ホルモン調整作用(ホルモン分泌調整作用):内分泌系にバランスをとるよう働きかけ、ホルモンの分泌を過不足なく行い、程よい状態に整える。
ホルモンとは体の働きを調整する物質です。
ホルモンは内分泌腺で作られることから、あわせて「内分泌系」と呼ばれます。
ま行
免疫強化作用:免疫機能を強化し、体の防衛能力を高める。
免疫賦活作用:免疫系の働きを強め、活性化することで防御機能を向上し、感染を防ぐよう働きかける。
ら行
利尿作用:腎臓での尿の生成を促進、尿量を増やす。また膀胱からの排尿を促すこと。
リンパ刺激作用:リンパ系の働きを活性化する。
好ましくない作用
芳香成分の種類やその割合により、人にとって好ましくない作用もありますので、おさえておきましょう。
肝毒性作用:肝臓の機能に対する毒性。
神経毒性:脳や神経に対する毒性。
腎毒性:腎臓の機能に対する毒性。
感作性:アレルギー反応を引き起こす。少量の使用でも起こることがある。
光毒性:紫外線に対する感作性を高め、発赤、しみ、炎症、色素沈着などを誘発する。
皮膚・粘膜刺激:皮膚や粘膜を刺激し、炎症、発赤などを生じさせる。
おわりに 精油の働きをおさえて有効活用
アロマテラピーは、ただ快適に感じられるだけでも、緊張が解けたりストレスが緩和されたりと十分な効果が得られます。
でも、せっかく精油を購入したなら、いろんな状況で使いこなせるようになれたら理想です。
精油は、さまざまな芳香成分を含んでいるからこそ多くの働きを持っています。
- リラクゼーションだけじゃなくて、胃腸の不調にも使える
- リフレッシュできるだけじゃなく、感染症対策にも使える
- 体を温めるだけでなく肩こりのケアに使える精油
などなど、今回の記事が新しい学びの一助になれば幸いです。
ぜひ、精油の知識を深めて、使いこなしてみてください。
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