アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~
精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。
植物に含まれる時よりも成分は70~100倍ほど濃縮され、その作用はとても強力です。
正しく使用すれば心と体の健康維持に大変役立ちますが、間違った使い方をすると体に悪い影響を及ぼすことにもなりかねません。
製品についている注意事項、必要な取り扱い方法や対象者に応じた使用量などを学び、ルールを守ってアロマテラピーを楽しみましょう。
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原液を皮膚につけないようにしましょう
精油は植物の有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。
皮膚に使用する際は、原液では刺激が強いため、必ずキャリアオイル(植物油)などで希釈(薄めること)して使用することが大切です。
誤って精油の原液が直接皮膚についた場合は、すぐに清潔な流水で十分に洗い流します。
赤み、刺激、発疹など皮膚に異常が見られた場合は医師の診察を受けてください。
また、敏感肌やアレルギーのある方は低濃度から使用するか、使用する前にパッチテストを行うようにしましょう。
精油を飲用しないようにしましょう
希釈したものであっても、精油の内服(飲むこと)やほかの食品と一緒に摂取すること、うがいに使うことは控えましょう。
フランスやベルギーなど一部の国においては、医師や薬剤師の監督のもと精油の内服が行われることがありますが、使用する形を工夫し、用法や用量を厳守して行われています。
内服は粘膜、消化管などへの刺激があり体への影響も大きいため、セルフケアの範囲では、安全性や有効性の観点からも行うべきではありません。
子どもが誤って精油を飲み込んでしまった場合は、吐かせずに、速やかに医師の診察を受けてください。
受診する際は、誤飲した精油瓶を持参しましょう。
精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう
精油は目や目の回り、唇などの粘膜部分には使用しないようにしましょう。
また、アロママッサージを行う際などには、精油がついた手で目をこすらないように注意しましょう。
誤って精油が目に入った場合は、大量の清潔な水で洗い流します。
決して目をこすらず、速やかに医師の診察を受けてください。
火気に注意しましょう
精油は引火性があるため、キッチンなど火気を扱う場所で、精油の保管や精油を用いて作成したもの(除菌スプレーなど)を使用する場合には十分に注意しましょう。
子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう
誤飲や誤用をしないよう、精油は子どもの手の届かない場所に保管してください。
定期的に使用状況をチェックしましょう
使用過多を避けるため、時には精油の使用をお休みする日を作りましょう。
また、作用に慣れてしまうため、1~2か月を目安としてレシピを変更することをお勧めします。
特に注意が必要な対象者
アロマテラピーを安全に楽しむためには、精油を使用する人の健康状態や体質、年齢、感受性などに注意を払うことが必要です。
不快感や異変を感じた場合は、使用を中止しましょう。
小さな子どもや高齢者、妊婦、授乳中の人、既往症のある方、皮膚が敏感な方などは影響が強く出る可能性があります。
妊娠中、既往症のある方は、精油を使う前に必ず事前に医師やアロマセラピストに相談するようにしましょう。
お年寄りや既往症のある方のアロマテラピー
いずれの楽しみ方で使用する場合も、まずは基準の半分以下の量から試してみましょう。
また、高齢者や既往症のある方に対して、使用できない精油の種類を確認しましょう。
医師による治療を受けている場合、薬を処方されている場合は、必ず事前に医師にご相談ください。
妊娠中・授乳中のアロマテラピー
セルフケアの範囲においては、使用可能な精油を芳香浴で利用することをお勧めします。
なお、体調を考慮し、妊娠初期の使用は避けましょう。
妊娠37週以降に入ったら使える精油の範囲が広がりますが、子宮を刺激する精油や毒性が強い精油の使用はできません。
アロマテラピートリートメントを受ける場合は、あらかじめ医師や経験を積んだ専門家に相談するようにしましょう。
また、強い香りは、赤ちゃんを過度に刺激したり、眠りを妨げたりする可能性がありますので、授乳期間や出産直後は、精油は控えるか、かなり低濃度で使いましょう。
赤ちゃん、幼児のアロマテラピー
赤ちゃんや幼児は、大人に比べてはるかに敏感な嗅覚をもっており、また体格の差からも精油の影響が大きくなります。
赤ちゃんや幼児へ使用できる精油かを確認し、大人の量の半分以下のごく低濃度を芳香浴で使用することをお勧めします。
使用にあたっては、不快な様子や普段と違う様子がないか十分に注意を払いましょう。
皮膚の弱い方のアロマテラピー
精油を皮膚に塗布して使用する場合(トリートメントオイル、ボディスプレー、スキンローションなど)は、ごく低濃度から使用するか、事前にパッチテストで安全性を確認することをお勧めします。
また、特に皮膚の弱い人、初めてアロマテラピーを利用する場合などは精油の希釈濃度にも注意が必要です。
パッチテスト
パッチテストは、接触性皮膚炎などの原因物質を確定するため、原因と思われる物質を皮膚に塗って反応を観察する試験です。
精油を混ぜる基材(植物油など)のみと、それに精油を加えたものの合計2種を、それぞれ前腕部内側の柔らかい部分に適量塗って24~48時間置します。
皮膚にかゆみや炎症等の異常がみられた場合は、直ちに中止し、大量の水で洗ってください。
メモ
希釈濃度について
希釈濃度は、基材の量に対し、加えた精油の濃度が何パーセントであるかを示すものです。
基本は、ボディへ使用する場合は1%以下、顔へ使用する場合は0.1~0.5%以下です。
精油は通常1滴0.03~0.05mlになるよう定められており、希釈する際は1滴0.05mlと概算します。
希釈濃度を守るため、精油瓶は焦って振ったりせず、ゆっくりと45度ほど傾けて1滴ずつ落としましょう。
簡単な計算方法
1%濃度 小さじ1(5ml)に1滴
0.5%濃度 小さじ2(10ml)に1滴
ただし、これはあくまでもガイドラインです。
個人の肌タイプや感受性、使用時の体調、さらには使用する部位や時間帯などに応じて希釈濃度を決めるようにします。
特に、顔などの敏感な部分には、必要に応じてガイドラインよりもさらに低い濃度から使用することをおすすめします。
注意が必要な精油
精油により、使用する時間や利用法、体調によって適さないこともありますので、十分な知識を持ったうえで扱うようにしましょう。
光毒性
精油成分の一部には、皮膚につけてから日光などの強い紫外線ににあたると、炎症や発赤、シミを起こすなどの毒性を示すものがあります。
これを光毒性と呼んでいます。
柑橘系の精油を使用した後は、すぐに紫外線を浴びないようにしましょう。
光毒性に注意が必要な精油の例
グレープフルーツ、ベルガモット、レモン、アンジェリカ、オレンジ、マンダリン、ゆず
使用時には、製品に付属する説明書の記載に従うと良いかと思います。
なお、フロクマリン類を除いた精油(ベルガプテンフリー/FCF)であれば、朝使う化粧品に利用しても光毒性の心配はいりません。
皮膚刺激
精油成分の一部には、皮膚表面から精油成分が浸透した時点で、皮膚組織や末梢血管を直接刺激し、炎症、紅斑、かゆみなどの反応を起こすものがあり、それを皮膚刺激と呼んでいます。
皮膚刺激に特に注意が必要な精油の例
イランイラン、ジャスミン、ティートリー、ブラックペッパー、ペパーミント、メリッサ、ユーカリ
精油の使用量の目安
精油を安全に使用するためには使用量や濃度に十分な注意を払うことが大切です。
以下の精油の使用量を参考にし、安全にアロマテラピーを楽しみましょう。
芳香浴法
使用する精油 1~5滴
沐浴法
全身浴法:使用する精油…1~5滴(一般の家庭用風呂(水量約200l)に対する滴数です)
部分浴法:使用する精油…1~3滴(手浴法や足浴法の際に使用する洗面器(直径約30-50㎝、直径40㎝程度)に対する滴数です)
吸入法
使用する精油…1~3滴
セルフトリートメント法
ボディへ使用する場合 精油の希釈濃度 1%以下
顔へ使用する場合精油の希釈濃度 0.1~0.5%以下
湿布法
使用する精油 1~3滴
セルフスキンケア(手作り化粧品)
使用する部分や精油の種類や個人差に応じて調整します。
ボディへ使用する場合 精油の希釈濃度 1%以下
顔へ使用する場合 精油の希釈濃度 0.1~0.5%以下
最後に~アロマテラピーは医療の代わりになるものではありません。
精油は薬ではありません。
そして、本サイトで紹介しているアロマテラピーの活用法は、医療の代わりになるものではありません。
使用にあたっては、自己責任においてお楽しみくださいますようお願いいたします。
また、精油を使うときは、製品についての注意事項を必ず読み、正しく使用してください。
妊娠中や重い病気の人、慢性的な病気のある人、服用中の薬がある場合など、健康状態が気になる人は必ずあらかじめ医師にご相談ください。
本サイトの運営者は、精油を使用して生じた一切の損傷、負傷、その他についての責任は負いかねますこと、何卒ご了承くださいませ。