グレープフルーツに期待できる働きと
おすすめの使い方
「グレープフルーツで痩せるって聞いたんだけど、そんなことってある?」
そう、香りを嗅いだだけで痩せるなんて、にわかには信じられませんよね。
しかし、近年行われている実験において、実際に代謝を促進する作用が示唆されているのは事実です。
もちろんお薬ではありませんから作用は穏やかですが、その分、安全でストレスケアになるうえにデトックスもできるなどさまざまなメリットがあります。
今回はダイエットの味方・グレープフルーツの働きについて詳しくご紹介します。
これを読めば、ストレスフルなダイエットから卒業できるはず♪
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「楽園のシトラス」として人気を博したグレープフルーツ
グレープフルーツは18世紀にカリブ海の島・バルバドスで発見された常緑高木。
ポメロ(ブンタン)とスイートオレンジの自然交配種として確認されました。
学名は「Citrus paradisi」は「楽園のシトラス」という意味があります。
また、「グレープフルーツ」という名前はブドウ(Grape)のように房状に実がつくことに由来しています。
軽い苦みを伴うフレッシュな甘さで人気を博し、1830年代に本格的に栽培が始まりました。
以降、さまざまな食品・飲料、ダイエット商品に使用されています。
甘酸っぱく爽やかなグレープフルーツの香り
甘さの中にほのかな苦みを感じるフレッシュな柑橘の香りです。
グレープフルーツの果実を切り分けたときのようなみずみずしさがあり、スイートオレンジに比べると甘さは控えめで爽やかな印象。
空間を明るくリフレッシュさせたいときに最適です。
親しみやすいカジュアルなイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、グレープフルーツ特有のほのかな苦みがアクセントになり、空間におしゃれな印象を与えます。
【概要】グレープフルーツ精油の働き
心身に重くのしかかったストレスを和らげるほか、胃腸や肝臓・胆嚢を強化する働きや、リンパ系を刺激して体液の循環を促進する働きがあります。
二日酔いや治りかけの風邪の回復に役立ちます。
また、疲労を回復し、筋肉痛からの回復もサポート。
芳香成分ヌートカトンには、交感神経の働きを活発にさせ、体脂肪の燃焼を促進する効果があるため、ダイエットの味方ともいわれています。
デオドラント作用に優れているので、アロマバスや足浴、スプレーなどでの体臭予防にも用いられますが、光毒性がある点には注意が必要です。
水蒸気蒸留法で取られる精油もありますが、圧搾法で抽出される精油のほうが高品質です。
ただし香りが劣化しやすいので早めに使い切りましょう。
果皮から抽出されるため、農薬の心配がないオーガニックを選ぶと安心です。
グレープフルーツの精油の中には、厚生労働省の認可を受け食品添加物として販売されているものがあります。
それらは料理や飲み物の香りづけに使えます。
なお、精油は自然にあるときよりはるかに濃縮されたものであり、通常、精油の内服はできません。
食品添加物であっても、代謝過程において肝臓に負担がかかる可能性がありますので使用量には注意しましょう。
その方が断然安全性が高いです。
原料植物名:グレープフルーツ
科名:ミカン科
学名:Citrus paradisi(キトゥルス パラディシ)
主な産地:アメリカ、アルゼンチン、イスラエル、ブラジル
抽出部位:果皮
精油製造法:圧搾法
色:黄色
主な成分:d-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、ヌートカトン、フロクマリン、シトラール、オクタナール、ゲラニオール など
五行:肝
【光毒性について】
肌への使用後は日光に当たらないこと
精油によっては、肌につけたあと日光に当たると、炎症やシミを起こすことがあります。
フロクマリン類のベルガプテン、ベルガモッチンなどの精油成分が紫外線と反応して起こるもので、これを光毒性(ひかりどくせい)といいます。
なお、これは肌に使用する場合であり、芳香浴では光毒性の心配はありません。
とはいえ、アロマディフューザーによっては水分の粒子が荒く、周囲に水滴がついてしまうこともあります。
光毒性と皮膚刺激を考慮し、肌につかないように気をつけましょう。
なお、光毒性と聞くと
「グレープフルーツの香りのボディミルク使ってたけどよくなかったのかな?」
と、心配される方もいるかもしれませんが、ご安心を。
グレープフルーツ精油が配合されている化粧品や香水には、光毒性を引き起こす原因・フロクマリン類を除いた精油(FCF/フロクマリンフリー)が使用されているようです。
心配な場合は商品説明を確認してみてください。
光毒性について詳しくはこちらをご参照ください。
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アロマテラピーでは精油の使用が前提 アロマテラピーでは、必ず精油を使用するという約束があります。 アロマオイルという製品名がつ ...
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【心への作用】
幸福感をもたらすグレープフルーツ
甘さと爽やかさ、わずかな苦みからなる絶妙な香りはストレス状態にあるときに価値を発揮。
交感神経を活性化する働きが沈んだ重い空気を一掃し、気持ちを高揚させて幸福感をもたらします。
逆に、交感神経が緊張しすぎているときには適度に鎮静させ、心のバランスを回復させ楽観的な気持ちにしてくれます。
完璧主義の傾向、欲求不満やいらだちがあるとき、また理想と現実のギャップに疲れ、失望感や自己嫌悪感を抱いてしまうときに。
足りないものに意識を向けるのではなく満ち足りた気分をもたらし、ありのままの状況を受け入れられるようサポートしてくれます。
少しおおらかでいた方が、ストレスがかからず続きやすいもの。
グレープフルーツの心理的な作用もまたダイエットのサポートになりそうですね。
英国では季節性情緒障害(冬場の日照時間の短縮によるうつ症状)に効果が認められていますが、一般的な落ち込みにも有効で、気力を回復させます。
こんなときに:落ち込み、自信喪失、食欲不振と過食、イライラ、集中力低下、精神疲労 など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法 など
【体への作用】
余計な水分や老廃物の排出を促す
交感神経を活性化する働きは、体にも代謝を促す効果があります。
新陳代謝が高まることで血液やリンパの流れを促進、老廃物や余計な水分を排泄してむくみの改善やデトックス効果が得られます。
加えて、脂肪燃焼効果と利尿特性もあることから、セルライトの改善をサポート。
胃腸の働きも助けますので、二日酔いの時の吐き気や胃部不快感にも役立ちます。
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こんなときに:利尿作用(とくに体液の停滞、セルライト・むくみの改善)、ダイエット、冷え性、肩こり、二日酔い、肝臓の不調、食欲不振と過食、消化不良 など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法、吸入法 など
ダイエット効果で注目【食欲抑制+脂肪燃焼】
精油にはダイエット効果の期待できるものがいくつかありますが、中でも香りを嗅ぐだけでダイエット効果が得られるとして話題なのがグレープフルーツ。
40代の男女に食事の10分前にグレープフルーツの香りを吸入し、さらに入浴にも使うという実験を2週間行ってもらったところ、1.2kg前後の減量に成功したという報告があります。
人間の体内には「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」という2種類の脂肪細胞があります。
白色脂肪細胞 : 体の至る所にあり中性脂肪を貯蔵。
褐色脂肪細胞 : 首やわきの下、心臓と腎臓の周囲など限られた場所にわずかにある脂肪細胞。
寒い時や食べ過ぎたときは褐色脂肪細胞の中で脂肪が燃焼して熱を産生、体温調節やエネルギー消費を担う。
これらの脂肪細胞は交感神経の支配を受けています。
交感神経が活性化すると、ノルアドレナリン(ホルモンの一種)が分泌され、これが脂肪細胞のレセプターに作用することで白色脂肪細胞の中では脂肪の分解が、褐色脂肪細胞では脂肪の燃焼が行われます。
交感神経が活性化
→ノルアドレナリンが分泌
→脂肪細胞のレセプターを刺激
→【白色脂肪細胞】脂肪が分解される 【褐色脂肪細胞】脂肪の燃焼が起こる
このような作用は、グレープフルーツ特有の芳香成分ヌートカトンに関係があると考えられています。
また、グレープフルーツの香りには食欲抑制作用もあり、つい食べ過ぎてしまいそうなときにも香りを嗅ぐことで食欲を抑えられる嬉しい相乗効果もあります。
なお、グレープフルーツの香りは果皮の外側に最も多く含まれており、精油も果皮から得ます。
精油がない時はグレープフルーツの皮をちぎったり、指でもんだり、つぶしたりしても芳香浴と同様の効果が期待できます。
私は冬至にゆず湯に入っていた時、香りをたてようと浴槽で皮の表面をもんでいたら、芳香成分が多く直接肌に触れてしまったようで、肌にピリピリとした痛みを覚えたことがあります。
さらに、グレープフルーツの実も1個あたり約80キロカロリー前後と低カロリー。
果汁の中にも食欲抑制効果が期待できる成分「ナリンギン」が含まれていますので、朝食や間食でグレープフルーツを食べることでダイエットにつながります。
「やけ食い」という言葉があるように、食べすぎの背景にはストレスの問題が潜んでいることも多々あります。
したがって心地よい香りでストレスを解消することもダイエットを成功させる秘訣です。
グレープフルーツに期待できるダイエット効果、そのメカニズムについては、下記の本が参考になります。
グレープフルーツ精油の活用法
【持ち歩き&アロマバス】
グレープフルーツの香りを楽しみたいときは、コットンに垂らしたり、アロマディフューザーやアロマストーンを使ってお部屋に香りを漂わせる方法があります。
また、外出先でも使いたい場合は、光毒性の心配がいらないアロマネックレスがおすすめ。
体温でふんわり優しく香ります。
また、香りづけができるアロマピアスやイヤリングも素敵だと思います。
なお、グレープフルーツは黄色の精油なので、染み込ませる素材は濃い色のほうがよいかもしれません。
また、入浴に使うと香りを吸入のみでなく、肌からも浸透させられます。
特におすすめは、ぬるめの温度(38~40度)でみぞおちまでつかる半身浴です。
なお、グレープフルーツは肌を刺激する可能性がありますので、肌が弱い方は滴数を減らして始めてみましょう。
また、柑橘系の果皮から得られる精油は、酸化すると刺激が強くなる芳香成分を含んでいます。
開封後3か月の使用期限を過ぎたら、芳香浴やアロマスプレーに使ったり、重曹と混ぜ合わせてクレンザーとして掃除に使いましょう。
先日、開封後3か月を経過したスイートオレンジを試しに入浴に使ってみたところ、肌にピリピリとした痛みが出ました。
希釈が甘かったのかなと再度試しましたが、1回目と同様に刺すような痛みが・・・。
見た目に赤みは出ませんでしたが、ぎょっとするような強い痛み。しかし数時間で自然と消えました。
開封後すぐは問題なく使えていたので、劣化で刺激性が増すことを確かめることができました。
皆様はマネされないでくださいね。
つわりを和らげる効果は期待できる?
書籍によっては、ペパーミント、ラベンダー、グレープフルーツを含めた柑橘系の精油を嗅ぐことで吐き気を和らげることができるとしています。
個人的には、嗅いでみて不快でなければ、レモンやグレープフルーツといった柑橘系の精油はホルモン様作用や刺激性も低く、良いのではないかと思います。
とはいえ、つわりが起きるのは妊娠2か月~4か月と妊娠初期とデリケートな時期なので、使用前にお医者様にご相談いただきたいです。
【肌への作用】くすみ・むくみ対策に
新陳代謝が良くなることで肌のくすみの改善に役立ちます。
老廃物が排出されることで、体の内側から綺麗になるようサポート。
また、デオドラント作用に優れているため、汗ばむ時期のスキンケアに有効です。
脂性肌を清浄にしニキビや吹き出物予防、また肌のむくみをとって引き締める作用も期待できます。
なお、光毒性があるため、使用後は日光に当たらないよう注意しましょう。
こんなときに:ニキビ、デオドラント作用 など
利用方法:トリートメント法、手作りコスメ(クレイパックなど)
【ブレンドのコツ】
どんな香りとも相性が良いグレープフルーツ
オレンジやレモンより穏やかなトップノートを表現したいときに。
リンパや静脈の流れを促進するにはサイプレスなど樹木の精油とのブレンドがおすすめ。
リラックスしたいときにはフローラル系の精油と、男性にはスパイシーな香りと調合するとよいでしょう。
ブレンドに加えると香りを良くする働きがあります(ブレンドエンハンサー)。
なお、グレープフルーツはトップノートで香りが飛ぶのが早いです。
ベースノートの精油を加えることで、香りの持ちをよくすることができます。
グレープフルーツに期待される主な作用
鬱滞除去作用
強壮作用
血圧降下作用
抗うつ作用
抗炎症作用
抗不安作用
高揚作用
殺菌作用
刺激作用(リンパ系・消化器)
消化促進作用
食欲増進作用
神経強壮作用
鎮静作用
鎮痙作用
鎮痛作用
免疫賦活作用
利尿作用
他
精油の薬理作用について詳細はこちら
【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...
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グレープフルーツを使用する際に気をつけること
妊娠中の使用は控えましょう。
光毒性がありますので、肌への使用後は直射日光を避けましょう。
皮膚刺激の可能性がありますので、低濃度から試してみましょう。
一部の薬剤において、併用すると副作用が増大する可能性が示唆されています。
基本的に食品のグレープフルーツの食べ合わせを対象とした注意ですが、香りを嗅ぐことも同様に心配な場合はお医者様にご相談の上ご使用ください。
おわりに
グレープフルーツで理想の自分を叶える
今回は、グレープフルーツの香りと働きについて解説しました。
食欲を適度に調整したり、脂肪燃焼効果、解毒、利尿作用はダイエットに最適。
また、心への作用を見ても、香りの良さから言っても利用価値は高い精油と言えます。
今回の記事がお役に立てば幸いです。
次におすすめの記事はこちら
グレープフルーツのほか、ダイエットに役立つ精油はジュニパーベリー、パチュリ、ブラックペッパー、ローズマリー・カンファーなどが挙げられます。
詳しくは各ページをご参照ください。
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。