シナモン(Cinnamon)の香りと効能
おすすめの使い方
こんな疑問にセラピストがお答えします
- シナモンスティックとは?シナモンってどんな木?
- シナモンから採れる精油には種類がある?
- シナモンリーフに期待できる効果・効能は?
- 甘くスパイシーな香水が作りたい!ブレンドのコツを教えて。
- シナモン精油を使うときに気をつけなければいけないことは?
下記の目次よりお好きな項目からご覧いただくこともできます。
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シナモンってどんな植物?【シナモンスティックとは?】
シナモンは、1年中花を咲かせる赤さび色をした木です。
シナモンパウダーとはシナモンスティックを粉砕してパウダー状にしたものです。
シナモンが使われてきた歴史は長く、旧約聖書や古代エジプト時代の古文書に登場するほど。
東西の伝統医学や料理の際のスパイスのほか、寺院での薫香に使用される貴重なものでした。
古代ギリシャでは王侯貴族に珍重され、シヴァの女王がソロモン王にシナモンを送ったという伝説も有名です。
ヨーロッパでは9世紀ごろからマルドワインに用いました。
メモ
マルドワインとは、シナモン、クローブなどのスパイス、オレンジやレモン、砂糖(メープルシロップやはちみつ)を入れて甘くしたホットワインです。
グリューワイン(ドイツ)、マルドワイン(イギリス)、ヴァンショー(フランス)と、国ごとに呼び名とレシピは少しずつ異なるようです。
手軽にグリューワインを楽しめるスパイスミックスも販売されています。
400年ほど前の大航海時代においても、シナモンは重要な交易品として重宝されていました。
インドネシアが原産地ですが、18世紀にオランダ人がスリランカへ持ち込み栽培を始めています。
消化機能を促進し、血液循環を高め、血糖を調節する働きがあり、エジプト、ギリシャ、中国などでもその強壮作用や消毒作用が認められていました。
日本では桂皮(ケイヒ)と呼ばれ、生薬として使われてきました。
精油としては、葉から抽出された「シナモンリーフ」が主に用いられます。
シナモンの精油は花のつぼみ(花蕾)、樹皮、葉から採ることができます。
しかしながら、花蕾や樹皮から採れる精油(シナモンバーグ)は、皮膚感作を引き起こす可能性のあるシンナミックアルデヒドを多量に含み、使用には注意を要します。
葉から得られる精油(シナモンリーフ)も強力な精油ですので、使う人や使い方には配慮しましょう。
参考 シナモン・カッシアとは?
シナモンには多くの品種がありますが、シナモン精油の中で最も穏やかな作用を持つのはシナモンリーフです。
「セイロン(Cinnamomum zeylanicum)」というシナモンの葉から得られます。
なお、その他「カッシア(Cinnamomum cassia)」と呼ばれるシナモンがあり、セイロンと同じく、食用として用いられるほか精油を得ることもできます。
セイロンとカッシアでは、精油中の芳香成分が大きく異なるため同じ使い方はできません。
スイーツでおなじみ
ピリッとスパイシーなシナモンの香り
スパイシーで鋭くも、麝香(ムスク)のような甘さとウッディな温かみが感じられる香りです。
麝香(ムスク)については下記ページで解説しています。
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心身を温める濃厚かつスパイシーなシナモンリーフ
強力な抗菌、抗真菌、抗ウィルス作用をもっています。
体を温める作用や強い鎮静力があることでよく知られています。
シナモンリーフはスパイスそのものに比べ、より刺激的な香りがあり、沈んだ気分を元気づけてくれます。
学名:Cinnamomum zeylanicum(キナモムム ゼイラニクム)
和名:桂皮、セイロンケイヒ、セイロンニッケイ
科名:クスノキ科
主な産地:マダガスカル、インドネシア
抽出部位:花のつぼみ、樹皮、葉 皮部(林)葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
精油の色:黄色がかった茶色
支配星:水星
主な成分(目安):オイゲノール、カリオフィレン、安息香酸ベンジル など
※精油の含有成分や割合は、産地や気候などにより異なります。
【心への作用】
落ち込んだ気分を温め穏やかに
精神的に弱っていて疲弊しきった状態や無気力に囚われてしまうときに、心に活力を与え物事に前向きに取り組む意欲を高めてくれます。
甘く豊かな香りは孤独感・孤立感を解放し心を元気づけ、過去へのとらわれや後悔を手放し、今この瞬間を楽しむことを教えてくれます。
また、加温作用によって体温が上がることで、穏やかな気持ちがもたらされることでしょう。
心も体も温めて、ほっと安心させてくれますよ。
利用方法:芳香浴法、手作り香水
【体への作用】 胃腸を守るスパイス
呼吸器を強くし、体温を上げる作用があることから風邪が流行する季節の芳香浴や冷え対策に使われます。
また、消化機能を高めたり、月経痛を和らげるよう働きます。
利用方法:芳香浴法
【肌への作用】 穏やかな収斂作用
ゆるんだ組織を引き締め、皮膚に対してマイルドな収斂(しゅうれん)効果を発揮。
肌のゆるんだ組織をほどよく引き締めてくれるため、むくみやたるみの解消に役立ちます。
また、いぼを取り除く作用があることでもよく知られています。
皮膚刺激、肝臓への毒性があるため、トリートメントでの使用を控えるよう記載している書籍もあります。
心配な場合は使用を控えるか、低濃度・短期間の局所的な使用を試してみてください。
適用:皮膚のたるみ、むくみ、いぼ など
【ブレンドのコツ】
スパイシーな香りを添えるシナモンリーフ
香りの系統:スパイス系
香りのノート:ミドル~ベース
香りの強弱:強
相性の良い精油:オレンジスイート、カルダモン、グレープフルーツ、クローブ、コリアンダー、ジンジャー、タイム、フランキンセンス、ラベンダー、ローズマリー など
柑橘系や同じスパイス系の香りとよく調和します。
ブレンドに加えるとスパイシーな香りを添えてくれます。
強い香りなので、ブレンドの際は少量ずつ加えるようにしてみましょう。
シナモン精油に期待される作用
強心作用
駆風(くふう)作用
健胃(けんい)作用
刺激作用
収斂(しゅうれん)作用
唾液分泌促進作用
鎮痙(ちんけい)作用
通経(つうけい)作用
抗菌作用
血糖調節作用
催淫(さいいん)作用
歯痛緩和作用
麻酔作用
他
薬理作用について詳しくは下記ページにて解説しています。
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【保存版】精油に期待できる薬理作用一覧
精油の薬理作用 芳香植物は、魅力的な香りで私たちをひきつけます。 各植物の個性の一つである精油は、植物がその種の生き残りをかけて作り出した物 ...
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【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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アロマテラピーのルール(精油を安全に活用するために)
アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...
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シナモンの使用にあたり気をつけること
妊娠中・授乳中、シナモンアレルギーをお持ちの方は使用を避けましょう。
フェノール類を多く含み刺激の強い精油のため、低濃度・短期間の利用をお勧めします。
皮膚や粘膜に対しアレルギーを引き起こす可能性がある点に注意しましょう。
シナモン精油にはいくつかの種類がありますので、購入する際には抽出部位と学名(セイロンかカッシアか)を確認しましょう。
おわりに
シナモンの甘くスパイシーな香りに癒されて
シナモンの葉から採れる精油「シナモンリーフ」。
ぴりっとスパイシーな中に、ムスクのような甘さが際立つ香りです。
落ち込んだ気分や孤独感を癒して元気づけてくれるほか、消化器系の不調や月経痛をやわらげてくれる作用が期待できます。
なお、強力な作用を持つ精油のため、使い方や使用量には注意が必要。
刺激性を考慮し芳香浴法での利用をメインにする場合は、ブレンドエッセンシャルオイルもおすすめです。
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シナモンリーフと相性のよい精油を下記にご紹介します。
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。