ゼラニウムの香りと働き
おすすめの使い方
「柑橘の精油は持ってるけど、次に買い足したら便利な精油ってなにがあるのかなぁ?」
「女の子らしいお部屋にぴったりの香りってどれ?」
この記事ではそんな疑問に答えます。
精油は目的があって作られる薬とは違い、植物が生き抜くために体内で作りだしたもの。
数十から数百の香り成分(芳香成分)で構成されていて、そのために期待できる効果は多岐にわたります。
そのため、
「鎮静作用に高揚させる働きもあるって、どういうときに使えばいいの?」
「女性ホルモンのバランスを整えるのに役立つ精油ってたくさんあるみたい。結局どれを選べばいいの?」
と、悩むこともあるかと思います。
そこで、最初に私自身がゼラニウムを選ぶときの目安をご紹介してから詳しい解説をしていきます。
甘くフローラルな香りに癒されながら、月のリズムも心地よく過ごせる毎日を手に入れましょう♪
では、早速参りましょう。
今回解説している内容は下記の目次よりご確認いただけます。
目次よりお好きな項目を選んでご覧いただくこともできますので、ご活用くださいませ。
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【専門家の視点で選ぶ】
私がゼラニウムを検討するケース
私がゼラニウムを検討するのは「くどくない花の香り(フローラルハーブ)が欲しいとき」です。
フローラル系の香りを持つハーブといえばラベンダーとゼラニウム。
この2種はイランイランなど濃厚で陶酔感のある花の香りとちがい、ハーブらしいフレッシュさも感じられます。
ラベンダーは果物のような酸味と甘みが感じられる爽やかな香り。
一方、ゼラニウムはややパウダリーでバラを思わせる香りを持っています。
そして、ゼラニウムは幅広い効能に加え女性ホルモン調整作用も期待できる点が魅力。
リラックスしたい夜はもちろん、生理前のイライラや憂うつ、座りっぱなしでむくんだ足のケアやスキンケアまで、「アロマしようかな?」というときに私が欲しい効能は備わってます。
そのため、「香りでゼラニウム選ぶ→強化したい効能・効能を持つ精油とブレンド」して使うことが多いです。
ゼラニウムの香りはやや重いため、強すぎると感じるときは滴数を少なめに。
爽やかなペパーミントやベルガモット、ラベンダーなどとブレンドすると使いやすくなりますよ。
ゼラニウムってどんな植物?
ポイント
精油を抽出するゼラニウム(ローズゼラニウム)は多年草。
ギザギザした葉とピンク色の花をつける。
仏領レユニオン島でとられたものが有名。
ローズと似た香りを持っている。
ゼラニウムはアフリカ原産で、暑さと乾燥を好む多年草です。
ヘリがギザギザして先がとがった葉をつけ、かわいらしい小さなピンク色の花を咲かせます。
アフリカで古くから傷薬や悪霊払いの道具として利用されていたゼラニウムは、17世紀初頭、南アフリカの喜望峰を航海した船員によりヨーロッパに持ち込まれました。
19世紀初頭には、フランスで精油の蒸留が開始。
南仏グラース地方で革製品のにおいを消すための香料を得る目的で、栽培が商業化していきました。
現在では中国、エジプトなどでも生産されていますが、インド洋に浮かぶ仏領レ・ユニオン島産のゼラニウム精油が特に有名です。
(レ・ユニオン島の場所は下記の地図をご参照ください。)
【園芸植物としてのゼラニウムとは違う】
精油の原料植物はローズゼラニウム
ポイント
精油を得るゼラニウムは、いわゆる園芸植物としてのゼラニウムとは同じ科の別属別種。
芳香を持つ栽培種を総称してセンテッドゼラニウムという。
精油を抽出するゼラニウムはローズゼラニウム。
ブルボンゼラニウムとは、仏領レ・ユニオン島産のローズゼラニウム。
「ゼラニウムって花壇に植えられているけど、あの花から精油が取れるの?」
ゼラニウムは観賞用に世界中で栽培され、多くの品種があります。
そして、花壇に植えられている一般的なゼラニウムと精油の原料となるゼラニウムは、同じフウロソウ科ですが別属別種。
精油を得るゼラニウムは実際にはペラルゴニウムといい、いわゆる園芸植物としてのゼラニウムとは異なります。
精油は、センテッドゼラニウムと総称される芳香のある栽培種の代表・ローズゼラニウムから抽出されます。
かつてブルボン島と呼ばれたレ・ユニオン島産のものが最も香り高いとされ、「ブルボンゼラニウム」とも呼ばれています。
芳香を持つゼラニウムにはペパーミントゼラニウム、アップルゼラニウムなどと呼ばれる近縁種もありますが、ゼラニウム精油はローズゼラニウムから得られます。
葉には繊毛があり、深く切れ込みの入った形も印象的です。
【どんな香り?】柔らかく優雅な花の香り
成分的にもバランスがよいことで知られています。
フローラルで甘く優雅な花の香りの精油です。
重厚感のあるフローラルノートにミント調の清々しさが感じられます。
【どんな精油?】心身のバランスを整え不調をサポート
ポイント
キーワードは「バランス」
心、体両面の働きが調和するよう働きかける。
昆虫忌避作用があり、虫よけスプレーにも活用される。
ゼラニウム精油のキーワードは「バランス」です。
心と体、両面におけるさまざまなバランスの回復に使われます。
また、虫が嫌うにおいでもあることから、同様の効果を持つユーカリなどとブレンドして手作りの虫よけスプレーなどに使われます。
一般的にはフランス産やエジプト産のものがよく使われますが、産地によって香りに違いがあります。
購入前に確認するとよいでしょう。
原料植物名:ゼラニウム(ローズゼラニウム)
和名:ニオイテンジクアオイ
科名:フウロソウ科
学名:
Pelargonium graveolens(ぺラルゴニウム グラウェオレンス)
Pelargonium odoratissimum(ペラルゴニウム オドラティッシムム)
主な産地:アルジェリア、イタリア、エジプト、スペイン、レユニオン島(フランス領)、フランス、マダガスカル、南アフリカ、モロッコ など
抽出部位:花と葉(開花前の花と葉を収穫、1日放置後に蒸留)
精油製造法:水蒸気蒸留法
色:透明または薄い黄色~緑色
主な成分:ゲラニオール、シトロネロール、メントン、リナロール
支配星:金星
五行:腎
次の項目から、心身への作用を詳しく見ていきましょう。
【心への作用】
心身を調和させ女性的な魅力を呼び覚ます
ゼラニウムは、副腎や視床下部に働きかけホルモン分泌や自律神経のバランスを調整するため、心と体の両面に作用すると考えられています。
1.心のバランスを回復させてくれます。
「ブルーな気分かと思えば、興奮しすぎて攻撃的になってしまったり・・・気持ちが大きく揺れるけど自分でもどうしようもない。」
そんな心と体がアンバランスだと感じるときに。
イライラや緊張、不安や憂鬱な気分をやわらげ、幸福感や楽しさを与えてくれます。
心に安定をもたらし、情緒豊かに人生を喜び、楽しめるようサポートしてくれます。
2.ホルモンバランスによる感情や気分の変化をサポート
「生理前はどうしようもなく気分が沈んでしまう。」
「最近精神的にデリケートになってるかも…些細な刺激も負担に感じてしまう。更年期なのかなぁ。」
女性ホルモンのバランスは、心の安定に関わる神経伝達物質にも密接に関わっています。
そのため、生理前や出産前後、更年期など、女性ホルモンのバランスが変化するときには感情も揺らぐもの。
ゼラニウムは「ホルモンバランスを整える作用+心のアンバランスを回復させる」ダブルのアプローチが可能です。
また、神経を強壮する作用もあるので、働きすぎの時やストレス状態、慢性的に疲労感を感じているときにもおすすめです。
苦しいときは「自分を慈しんで」のサインと受け取って。
のんびり休める時間を作ったりアロマバスを楽しむなど、できるケアをして回復に努めましょう♪
更年期特有の症状に対し、ゼラニウム精油が与える影響を測定した実験があります。
下記リンク先でご覧いただけます。
妊娠中は芳香浴であれば問題ないとされています。
詳しくは「妊娠中のアロマテラピーは可能なの?【精油・利用方法によります】 」で解説しています。
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3.女性的な魅力を呼び覚ます
ゼラニウムは、本来の女性的な優しさや感受性、直観力を活性化させる力を持っています。
忙しい毎日で心に潤いが足りない、柔らかい気持ちにを取り戻すのが難しいと感じるときに。
アロマトリートメントやアロマバスで取り入れてみましょう。
こんなときに:興奮、不安、抑うつ、心身の緊張、精神疲労、無気力、情緒不安定、ストレス など。
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法 など。
【体への作用】
女性に嬉しい体のバランス調整
1.ホルモンバランス、自律神経を整える作用で月経前緊張症(PMS)と更年期のトラブルにアプローチ。
心への作用はもちろん、PMS(月経前症候群)によるむくみや便秘、生理痛など身体的な症状にも働きかけます。
2.肝臓と腎臓の双方に強壮作用を発揮。体から毒素を排出。
デトックス作用が期待できます。
また、過剰な水分の排出を促すため、セルライトやむくみの解消に役立ちます。
3.免疫系のバランスを整え、感染症を寄せつけないよう働きかける。
免疫系のバランスを整える働きもあるため、リウマチや関節炎に使うことが増えています。
この場合はアロマトリートメントがおすすめです。
また、咽頭(いんとう:のどのこと)と口腔(こうくう)の各種の感染症に効果が期待できます。
ゼラニウムには真菌の増殖をおさえる効果が実験で示されています。
詳細については下記リンク先をご参照ください。
こんなときに:更年期の症状、月経痛、月経前緊張症(PMS)、むくみ、心身の緊張、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)、冷え など。
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法 など。
【肌への作用】
肌質を選ばずスキンケア効果の高いゼラニウム
化粧水や美容オイルに使っておくと、生理前のトラブルの予防にもなるなど、女性にとって心強いサポーターです♪
最近では消炎作用があることが研究によりわかってきました。
1.肌質を選ばず使え、シミ・シワの予防に役立ちます。
皮脂バランスを調整する作用があり、乾燥肌から脂性肌まで肌質を選ばず使えます。
肌を柔らかくし、潤いを与える効果はシミやシワ、妊娠線の予防に効果が期待できます。
2.リンパ液の循環を促し肌を活性&デトックス
リンパ液の流れが良くなることで体内の働きが活性化され肌色をよくします。
そのため、機能が鈍化した肌、鬱滞(うったい)を生じた肌にもアプローチが可能。
ニキビや炎症を起こした肌にも適しています。
3.ヘアケアにも使えます
フケや脱毛にはマンダリンやローズマリー、パルマローザとのブレンドがおすすめです。
こんなときに:しわ、真菌感染症、爪のケア、ヘアケア、やけど、しわ、妊娠線の予防、皮膚弾力回復、収斂(しゅうれん)、脂性肌、乾燥肌、敏感肌、ニキビ、フケ、かゆみ、ダメージヘア など。
利用方法:トリートメント法、フェイシャルスチーム、手作りコスメ(化粧水、美容オイル、クレイパック)など。
【虫よけ効果】スプレーにしてアウトドアに
優れた虫よけ効果があることから、ゼラニウムを使って虫よけスプレーを作っておくと便利です。
優しい花の香りなので、虫よけ効果がありながらルームフレグランスとしても楽しめます。
特に、ゼラニウムはハエに対して高い忌避効果が示唆されています。
詳細は下記リンク先にてご確認いただけます
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庭に植えたら虫よけになる?
「ゼラニウムを庭に植えたら虫よけになるかな?」
ゼラニウムの香りに虫よけ効果が期待できるなら、庭木に加えてみては?と思いますよね。
個人的には、少量のゼラニウムを植えるのみで防ぐことは難しいのでは?と考えています。
私がローズゼラニウムを育てていた時に庭に害虫がつくことはありませんでしたが、試した友人たちからは植物では効果は薄いとの話を聞きました。
なお、精油は非常に濃縮したもののため、ゼラニウムそのものよりは効果は期待できますが、すぐ香りが飛んでしまうデメリットはあります。
私は精油で虫よけスプレーを作って外出時につけたり、網戸やカーテンに吹きかけて使っています。
そのせいか室内で虫に悩まされることはありませんし、香りもよくて気分転換になってます。
ゼラニウムの昆虫忌避作用については、「結局どれがいいの?虫除け作用が期待できる精油の選び方 」でも解説しています。
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【ブレンドのコツ】華やかさ&甘さを添えるゼラニウム
ブレンド全体に甘さと華やかさを添えてくれます。
少し主張のある香りなので、強すぎると感じるときは少量にするとバランスがとりやすくなります。
また、ペパーミントやベルガモット、ラベンダーと組み合わせるのもおすすめです。
下記はゼラニウムを柑橘とミントで軽やかに仕上げたブレンドです。
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ゼラニウムに期待される薬理作用
解毒作用
緩和作用
強壮作用
血行促進作用
抗うつ作用
抗炎症作用
抗菌作用
抗ウィルス作用
抗真菌作用
昆虫忌避作用
細胞成長促進作用
殺菌作用
収斂(しゅうれん)作用
自律神経調整作用
鎮痙(ちんけい)作用
鎮静作用
鎮掻痒(ちんそうよう)作用
鎮痛作用
デオドラント作用
瘢痕形成作用
皮膚軟化作用
皮脂分泌調整作用
皮膚弾力回復
ホルモン分泌調整作用
利尿(りにょう)作用
他
薬理作用について詳しくは下記ページにて解説しています。
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【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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妊娠中の使用は控えましょう。
稀に刺激となる場合がありますので、敏感肌の方は低濃度で試してみましょう。
おわりに
女性におすすめの機能が満載 華やぐ香りのゼラニウム
今回は、精油選びに迷う女性に提案したいゼラニウムをご紹介しました。
甘く華やかな香りで、女性ホルモンバランスを整えたり、むくみやセルライトの解消にも役立つなど女性に嬉しい機能をたくさん備えています。
気になる方は、ぜひ香りを試してみてください。
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心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。