γ-リノレン酸(GLA)に関する疑問をすっきり解消!
今回は、γ-リノレン酸に期待できる作用と報告されている実験結果を紹介していくわね。
こんな方におすすめ
- γ-リノレン酸が体にいいってどうして?どういう働きをするか知りたい。
- 肌にいい?PMSにいい??γ-リノレン酸に期待できる健康効果は?
- サプリメントを購入するか迷っている・・・実際に効果があるの?
- 購入するだけの価値があるか知りたい。現時点ではっきりしていることを教えて!
また、紹介している研究結果はサプリメントを試す価値があるかどうかの判断材料になるかと思いますので、迷われている方は参考になさってください。
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γ-リノレン酸は「必須脂肪酸」から作られる
脂肪は、炭水化物、タンパク質と並ぶ3大栄養素の1つです。
脂肪の働き
- 身体に蓄えられ、必要に応じて分解されエネルギーになる。
(9kcal/g。エネルギー源として体温の調節や、働く力となります。) - 細胞膜や脳神経組織、ホルモンをつくる材料となる。
脂肪は脂肪酸とモノグリセリドと呼ばれる物質でできています。
この脂肪酸には、体内で合成できるものとできないものがあり、後者を必須脂肪酸と呼んでいます。
体内で合成できない必須脂肪酸は食事から摂取しなければなりません。
必須脂肪酸には、α-リノレン酸(n-3系脂肪酸/オメガ3)とリノール酸(n-6系脂肪酸/オメガ6)があります。
痛みや炎症の原因物質 プロスタグランジン
体内には、さまざまな生理活動を調整したり活性化させたりする化学物質=生理活性物質があります。
プロスタグランジン(prostaglandin)もまた生理活性物質であり、痛みや炎症の原因物質として知られています。
このプロスタグランジンは、脂肪酸から体内で作られます。
γ-リノレン酸は
炎症を抑えるプロスタグランジンの材料になる
プロスタグランジンは原料となる脂肪酸の種類によりいくつかのグループに分けられ、それぞれを必要に応じて合成し、バランスをとって利用しています。
ところが、食生活に偏りがあるとプロスタグランジンをバランスよく作ることができません。
例えば、オメガ6からは「炎症を抑えるプロスタグランジン」と「炎症を活発にするプロスタグランジン」の2種が作られます。
アラキドン酸は、バターやお肉の脂身など動物性の油脂から摂取することができるほか体内でも合成することができ、「炎症を活発にするプロスタグランジン」になります。
アラキドン酸(動物性油脂から摂取or体内で合成)
→炎症を活発にするプロスタグランジン
なお、ジホモ・γ-リノレン酸は「炎症を抑えるプロスタグランジン」になります。
リノール酸を摂取することで、γ-リノレン酸を経てジホモ・γーリノレン酸を体内で合成することができます。
リノール酸は現在加工食品に多く含まれているため、とりすぎが懸念されています。
つまり、人によっては体内でリノール酸からγ-リノレン酸を作れないみたい。
リノール酸(ひまわり油、サフラワー油などの植物油、加工食品に含まれる植物油脂)
→γ-リノレン酸(イブニングプリムローズオイル、ボリジオイル)
→ジホモ・γ-リノレン酸
→炎症を抑えるプロスタグランジン
【アロマトリートメントでも】
γ-リノレン酸に期待されるその他の効果
γ-リノレン酸は、上記のとおり「炎症を抑えるプロスタグランジン」を作る材料になります。
そのほか、γ-リノレン酸そのものにも女性ホルモンの分泌をコントロールする働きがあるといわれています。
ホルモンのアンバランスは月経前緊張症(PMS)の際に特に顕著に現れ、月経前の体調がつらいものになってしまいます。
こうした女性の一部は、摂取したリノール酸をγ-リノレン酸に不完全にしか転換できないので、特に月経前に心理領域でいろいろな問題が起こりやすいと推定されています。
イブニングプリムローズオイルのサプリメントはこうしたケースで助けになります。
個人差はありますが、これを飲むことで安らかさと落ち着きが自分でも感じられるくらいに取り戻され、ポジティブな精神状態となるのだとか。
また、女性だけではなく男性にも子どもにもよく、神経がすり減ってしまうような忙しい時期や落ち着きを失ってしまうような状況で助けになってくれます。
メモ
肌への作用
アトピー性皮膚炎のある方もまた、リノール酸をγ-リノレン酸に変換できないことが確かめられています。
結果として、皮膚が乾燥しかゆくなり、湿疹ができやすくなりますので、サプリメントで補うことが有効だそう。
もちろん、スキンケアとしてオイルを塗布する方法もあります。
参考
私自身に大きな不調がないために、イブニングプリムローズオイルを飲むことによる効果は体感できていません。
なお、講師を務めていたときには、イブニングプリムローズオイルで更年期の不調が随分やわらいだという事例(2例)はありました。
ご参考までに。
γ-リノレン酸のさまざまな研究報告
厚生労働省の見解としては、イブニングプリムローズオイルについては使用を支持する十分な根拠はないとしています。
なお、月見草油(γリノレン酸約8%含有)を用いた治療実験は数多く報告されており、イギリスでは「Epogam」の商品名でアトピー性皮膚炎治療薬として認可されています。
下記に研究報告をご紹介していきます。
PMSと判定された女性(54名)を対象に、γ-リノレン酸(GLA)を含有する油脂を摂取するブラインド実験を行ったところ、GLA投与群では64.4%の人に改善が認められました。
これらの結果から、GLAを含む油脂の摂取は一部のPMS症状の軽減に対して有効と推測されています。
GLAは皮膚のバリア機能および免疫調節においてさまざまな役割を果たす可能性があり、アトピー性皮膚炎の治療に役立つ可能性があります。
糖尿病性腎症による慢性腎不全のため生じた左足底の壊疽に対し、γ-リノレン酸の内服を行ったところ切断することなく治癒した症例があります。
リノレン酸の末梢循環不全に対する有効性が唱えられています。
γ-リノレン酸を豊富に含む食品は、乾燥肌やアトピー性皮膚炎に対し有益であった実験結果が出ています。
γ-リノレン酸は、炎症関連物質や炎症促進蛋白質の働きを抑制することで、抗炎症作用を発揮することがわかりました。
不飽和脂肪酸はその抗炎症作用により網膜と涙腺中の炎症を防ぎ、ドライアイの予防に役立つ可能性が示唆されています。
γ-リノレン酸摂取により、ヒスタミン(アレルギー関連物質)放出の減少が確認されました。
DHAと一緒に摂取することでアトピー性皮膚炎の予防に役立つようです。
アトピー性喘息患者43名がγ-リノレン酸とEPAを摂取したところ、炎症物質(ロイコトリエンB4)の減少が確認されました。
この結果により、γ-リノレン酸とEPAをあわせて取ることで症状緩和に役立つと考えられています。
γ-リノレン酸のコレステロール低下作用は、リノール酸よりも強力であることが報告されています。
γ-リノレン酸を多く含む月見草油に、α-リノレン酸より強い血清コレステロール濃度低下作用が示されています。
γ-リノレン酸に関する各種研究報告がまとめられています。
おわりに γ-リノレン酸の研究は進展中
γ-リノレン酸はイギリスでは治療薬としてすでに認可されている一方、日本ではまだ効果が認められていません。
しかしながら、複数の研究報告から有益であることが見込まれ、現在研究が進められているところです。
今回の記事が参考になれば幸いです。
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