ホーリーフ(芳樟)の香りと作用
おすすめの使い方
最初にそろえるようなメジャーな精油ではないけれど、穏やかな香りと作用で使いやすい精油の1つよ。
こんな疑問にアロマセラピストがお答えします
- ホーウッド?ローズウッド??違いを教えて!
- ホーリーフってどんな香り?
- ホーリーフに期待できる効果、効能を教えて
- 相性のいい精油は?ブレンドのコツが知りたい
- 利用にあたって注意することはある?
目次よりお好きな項目からご覧いただくこともできます。
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芳樟はクスノキの仲間
中国や台湾、日本を主な産地とする芳樟はクスノキの一種(亜変種)です。
樹高は20mにもなり、初夏(5~6月頃)に薄い黄緑色の花をつけ、秋(10~11月頃)に丸い果実が黒く熟します。
虫が嫌う独特な香りと腐敗に強いという特徴があり、昔から家具や仏像、建築用の資材として使われてきました。
芳樟の精油は、葉や枝、または幹の部分(木部)から水蒸気蒸留法にて抽出します。
参考 本樟と芳樟は異なる用途で使われてきた
クスノキにはいくつかの種類がありますが、よく知られているものに樟脳の原料となる本楠と良い香りの成分を多く含む芳樟があります。
この2つは、いずれも学名が同じ「Cinnamomum camphora(キンナモムム・カンフォラ)」で見た目は似ていますが、性質は大きく異なります。
本樟にはカンファーが多く含まれていますが、芳樟にはほとんど含まれておらず、代わりに本樟の1.5倍のリナロールを含んでいます。
参考
樟脳とは
クスノキの葉や枝などのチップを水蒸気蒸留すると得られる白色半透明のロウ状の結晶。
強く鋭い樹脂系の香り(カンファ―)を持ち、江戸時代から防虫剤として利用されてきました。
樟脳の製造方法は16世紀に日本に伝わり、江戸時代以降は重要な輸出商品となりました。
なお、本樟と違い、芳樟はカンファ―の含有量が低く樟脳を作るのに適さなかったため、当時は不要なものとして「臭樟」と呼ばれていました。
本樟から樟脳を得る過程で得られる精油は、樟脳油やクスノキ精油と呼ばれています。
しかし、1920年代に入ると化学合成品が開発され、やがて合成樹脂に変わるプラスチックが出現。
また、化学合成の発達とともにナフタレン(ナフタリン)が登場し、防虫剤としての需要も減りました。
一方、昭和初期以降、「臭樟」は主成分が香料として有用なリナロールであることが判明し、一気に重要な樹木となり、名称も「芳樟」と改められました。
そのように花の香りを併せ持つことから「芳樟」と言う漢字があてられたそうです。
ホーリーフ、ホーウッドとの違いは?
芳樟の葉や枝からとれる精油はホーリーフ、芳樟の幹(木部)から得る精油をホーウッドと言います。
また、学名が同じ植物からとれる精油に「ラベンサラ(Ravensara)」があります。
紛らわしいため、下記に簡単にまとめておきます。
同じ学名(Cinnamomum camphora)の精油4種
ホーリーフ
芳樟の葉、枝から抽出。
爽やかな花のような香り。主要成分はリナロール。
ホーウッド
芳樟の木部から抽出。
ウッディーな中にやや甘さを感じる香り。主要成分はリナロール。
クスノキ精油
本樟の木部から抽出される精油。
カンファ―の含有量が多いため、使用には注意が必要。
ラヴィンサラ
本樟(マダガスカル産)の葉、枝から抽出される精油。
1.8-シネオールを多く含む(ケモタイプ)。
ホーリーフ(Cinnamomum camphora)
芳樟の葉、枝から抽出。主要成分はリナロール。
ホーウッド(Cinnamomum camphora)
芳樟の木部から抽出。主要成分はリナロール。
クスノキ精油(Cinnamomum camphora)
本樟の木部から抽出される精油。カンファ―の含有量が多い。
ラヴィンサラ(Cinnamomum camphora)
本樟(マダガスカル産)の葉、枝から抽出。1.8-シネオールを多い(ケモタイプ)
参考
ラベンサラ(Ravensara/Ravensara aromatica)
マダガスカル産の高木ラベンサラから抽出される精油。
スパイシーでアニスのような深い香り。
香りと成分が似ていることから、ラヴィンサラと混同されますが全く違う植物です。
現在「ラベンサラ」として出回っている精油の中にはラヴィンサラが混ざっていることがあり、成分にばらつきがあります。
(産地でも長く同じ植物と考えられていたためです。)
アロマテラピーに用いられるようになったのは1980年代以降と比較的最近です。
ラベンサラは「学名」で判断するようにしましょう。
フローラル調で心地よいウッディーなホーリーフの香り
ウッディーな中に花の香りを併せ持つ、華やかな雰囲気のある香り。
爽やかな花のような香りの中にかすかに樟脳の香りが感じられます。
ローズウッドと香りや成分、効能が似ているため、代替品として注目されています。
香りとしてはローズウッドよりウッディですが、安価であることから愛用者が増えてきているようです。
ホーリーフがもつ心身への作用
穏やかな木の香りが、疲れた心を癒して明るい気分にさせてくれます。
神経系に対して穏やかな強壮作用があります。
また、鎮静と高揚両方の作用をもつため、ストレスからくるさまざまな感情の変化、体の症状を和らげます。
緊張からくる頭痛、生理痛のイライラなどにもお勧めです。
免疫系を強壮する働きをもち、風邪やインフルエンザの予防になるほか、感染症にも役立ちます。
ストレスからくる皮膚の炎症やかゆみ、擦り傷や軽いやけど、水虫のケアにも利用することができます。
また、近年行われた実験では殺虫・忌避作用も示唆されています。
学名:Cinnamomum camphora(キンナモムム・カンフォラ)
科名:クスノキ科
産地:中国、台湾、日本
抽出部位:葉、枝
抽出方法:水蒸気蒸留法
精油の色:透明
香りの特徴:フローラルの甘さが加わった爽やかなウッディ調の香り
主な作用:抗菌作用、抗ウィルス作用、鎮痛作用、抗炎症作用、中枢神経抑制作用、血圧降下作用、抗不安症、昆虫忌避作用 など
利用方法:芳香浴、沐浴法、トリートメント法、吸入法、手作りコスメ など
成分の一例:
lーリナロール94%
1.8-シネオール 2%
αーテルピネオール 1%
カンファ―、γーカジネン、サフロール ほか 3%
※精油の含有成分や割合は、産地や気候などにより異なります。
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ホーリーフはこんな時におすすめ
心への作用
- 落ち込んだ時に
- 緊張が続くとき
- イライラするとき
- 心を癒したい
- 気持ちを切り替えたい
- 元気を取り戻したい
ベルガモットと同様に、ブレンド次第でどちらにも活用できます。
体への作用
- ストレスからくる不調に
- 風邪や感染症の予防に
- 筋肉のこりをほぐすためスポーツ後のトリートメントに
肌への作用
- ストレスからくる症状やかゆみ
- 水虫
- 皮脂バランスの調整
- デオドラント作用
さまざまな精油と高相性 ブレンドのコツ
香りのタイプ:樹木系
ノート:ミドルノート
香りの強さ:中
どのタイプの精油とも合わせやすい香りです。
シダーウッドなど木から抽出される精油や柑橘系全般、イランイラン、フランキンセンス、ラベンダー、ローズ、ローズマリーとよく調和します。
ホーリーフのおすすめブレンド
精油は一つでも十分な効果を得ることができますが、ブレンドすることで相乗効果を期待できます。
ホーリーフ×ベルガモットorレモン
落ち着いた雰囲気のシトラスノート
明るい気持ちになりたいときに、元気になりたいときにおすすめの組み合わせです。
レモンとの組み合わせはフレッシュでクリーンな印象に
ベルガモットだと大人っぽく洗練された雰囲気に仕上がります。
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ホーリーフ×ローズマリー
疲れを癒すシャープなウッディーノート
シャープなローズマリーの香りにホーリーフが落ち着いた印象を与えます。
スポーツ後の筋肉痛や疲労のケアにおすすめです。
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なお、「生活の木」で季節限定の人気商品「キンモクセイシリーズ」では、キンモクセイをメインにホーリーフやベンゾインがブレンドされているようです。
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【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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ホーリーフの使用にあたり気をつけること
基本的な容量、使用方法を守れば利用に問題はありません。
ただし、同じ学名の植物からとれる精油もあるため、購入時には注意が必要です。
精油名、学名、抽出部位をしっかり確認するようにしましょう。
しかし、クスノキは神経毒性のあるカンファ―が高濃度に含まれているため扱いには注意が必要です。
おわりに ホーリーフの優しい香りに癒されよう
ホーリーフは、芳樟の葉、または枝から抽出される精油です。
フローラル調で心地よいウッディーな香りをもち、ローズウッドの代用品としても注目されています。
穏やかな木の香りは、疲れた心を癒して明るい気分にしてくれます。
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。