ジュニパーベリー(Juniper Berry)の働きと
おすすめの使い方
「仕事柄座りっぱなしだし夕方は足がだるいなぁ。足先冷たいし最近太くなってきた気がする。」
足のむくみ、困りますよね。
重くてだるいだけではなく、むくんで太く見えたりすると余計にげんなりした気分になってしまいます。
そんな方に、体はもちろん心まですっきりデトックスさせてくれる「ジュニパーベリー」をご紹介したいと思います。
今回は、ジュニパーベリーがおすすめできる理由から、手軽に作れるアロマバスソルトやシェイプアップに役立つトリートメントオイルのレシピも紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
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ジンの香りづけに使用されるジュニパーベリー
ジュニパーはヒノキ科の常緑樹で、果実をジュニパーベリーと呼びます。
樹高3~10mに育つ針葉樹で、幹は赤みがかっており、小さな黄色の花を咲かせます。
未熟な果実は緑色で、熟すと青みがかった黒色に変化します。
ベリーという名がついていますが他のベリー系の果実とは異なり、胡椒(こしょう)のようなスパイシーな香りを持っています。
ジュニパーは、ヨーロッパでは昔から「悪魔祓いのハーブ」として知られていました。
強力な殺菌作用から「悪魔=病気を追い払う力があるもの」とされていたのだとか。
メディカルハーブとしての歴史も古く、フランスの病院ではローズマリーとジュニパーの枝を合わせて焚いて、病棟の空気浄化や伝染病予防のために利用していました。
また、ネイティブ・アメリカンはよどんだ気を浄化する効果があると考え、ホワイトセージと同様にジュニパーを利用しました。
そのほか、チベットなど各地の宗教儀式でも焚かれていました。
旧約聖書にも登場するジュニパー
ジュニパーは「エニシダ」の名で旧約聖書に何度も登場します。
旧約聖書にあるシーンでは、疲れ切った預言者がこの木の下で眠ったという記載があり、疲労した心身を回復させるジュニパーの性質がうかがえます。
ジュニパーベリーは西洋で300年以上愛飲されているるジンの香りづけに使用されることでも有名。
ジンは、17世紀にオランダの医師フランシスクス・シルヴィウス(Franciscus Sylvius)が解毒・利尿作用のあるジュニパーベリーを利用して作った薬用酒に起源をもつといわれています。
肉料理のスパイスとして使えるほか、お酢につけてピクルスにして食べると利尿と解毒効果が期待できるのだとか。
松葉のようなウッディーで爽やかな香り
深い森林を思わせる針葉樹の香りです。
くっきりとしたリフレッシュさせる樹木系の香りの中に、スパイシーな甘さとスモーキーさも感じられます。
静けさを感じさせる香りはモダンなインテリアにもぴったりです。
まるで森林浴のように心や体、空気を浄化
【ジュニパーベリー精油の基本情報】
ジュニパーベリーで最も注目すべきは強力なデトックス作用です。
成分の大部分を占めるモノテルペン類(α-ピネンなど)は殺菌・消毒作用とともに体内の機能を刺激・向上させるよう働きかけるため、消化器系などの働きを活性して解毒・浄化を促進します。
優れた利尿作用は体内にたまっている余計な水分や老廃物の排出を促し、むくみをすっきり解消させます。
後ほど詳しく説明します。
また、体を温める働きは冷えると痛みを増すような症状(リウマチや関節炎など)にも効果を発揮。
その他、殺菌作用を期待して気管支炎などの呼吸器系疾患に使われます。
爽快な香りには、ストレスを癒すとともに集中力を高める効果も期待できます。
ジュニパーの和名は「セイヨウネズ」
ネズは「ネズミサシ」または「ネズサシ」ともいいます。
針葉の先端が鋭く尖っていて実をとるもの手を傷つけてしまうほど。
ネズの小枝をネズミの出入りする穴に差し込むとネズミが通れなくなるということからこの名がつきました。
なお、ジュニパーの果実は杜松実(としょうじつ)と言います。
原料植物名:ジュニパーベリー
和名:セイヨウネズ
科名:ヒノキ科
学名:Juniperus communis(ユニペルス コンムニス)
主な産地:アルバニア、イタリア、インド、オーストリア、カナダ、クロアチア、ハンガリー、フランス、ブルガリア
抽出部位:果実(液果)
※液果(えきか)とは水分の多い肉質の果皮を持つ果実のこと。例えばミカンやトマト、ブドウは液果です。
精油製造法:水蒸気蒸留法
色:透明または薄い黄色
主な成分:α-ピネン、サビネン、ミルセン、β-ピネン ほか
支配星:木星または太陽
五行:腎
ジュニパーとジュニパーベリーは違うの?
ジュニパーは元々その果実(液果)から精油をとっていたのですが、近年その小枝などからも精油を抽出するようになっています。
(当時ジュニパーと言えば果実からしか抽出しなかったので。)
果実から抽出される精油のほうが香り・質ともに優れているとされています。
今はジュニパーの果実のみから抽出している精油を、枝を含めた精油とは区別して「ジュニパーベリー」としているようです。
しかし、ジュニパーという精油名で抽出部位は果実となっているものもあります。
メーカーごとに異なるようですので、購入の際は抽出部位を確認しましょう。
【心への作用】
疲労感に+ネガティブな影響から守る
森林にいるような香りは神経を強化し、頭の働きをクリアにします。
落ち込んだり無気力になってしまうなど、神経が疲労しているときに助けになってくれます。
心のもやもやとしたわだかまりを一掃し、気分一新。
前向きにチャレンジできるようになるでしょう。
空気を浄化する精油とも言われ、ネガティブな感情やわだかまりを取り除き、ほっとさせてくれます。
神経が繊細で周囲の影響に過敏になってしまう時に、ネガティブな人や場からの影響から守り、不安や混乱、ストレスを浄化し、困難に立ち向かえるくらいの強い意志を与えます。
ネガティブな影響を引き受けやすい時にや人ごみで疲れやすい時には、アロマスプレーにして持ち歩くのも便利です。
そのような場合に、ネガティブなエネルギーを浄化する香りとして使われることがあります。
心身ともに浄化に優れた組み合わせといえば、ジュニパーとラベンダーのブレンド。
バスソルトにして使えばかなり発汗できますし、気分もすっきりするのでおすすめです。
こんなときに:イライラ、抑うつ、頭脳明晰、リフレッシュ、精神疲労、自律神経のアンバランス、無気力 など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、ルームフレッシュナー など。
【体への作用】
強力なデトックス作用が魅力(レシピ付き)
抜群の利尿作用はデトックスとダイエットの頼もしい味方になってくれます。
体内の老廃物と余分な水分を排出させる強力な作用があり、循環が悪く体の動きが重くてだるい状態を刺激し改善します。
セルライトや肥満の改善、むくみのケアにも効果的です。
体内の毒素を取り去るので、特にアルコール飲料を飲んだり、脂っこい食事をとりすぎた後に適しています。
筋骨格系、循環器系、泌尿器系、呼吸器系、消化器系、神経系、免疫系を刺激、活性化させる力があります。
利尿作用は、泌尿器系の感染症に効果があるといわれています。
尿酸など老廃物の排泄を助けるため、関節痛や痛風、坐骨神経痛の場合に役立ってくれます。
一般的に手足を強化し手足を動かすのが困難だったり、こわばっていたりする時にその痛みを和らげるのを助けます。
また、月経周期を正すように働き、月経を正常化し月経痛を緩和させます。
【旅先での利用もGood】疲労を取り去るアロマバスソルト
筋肉痛や肩こりには、精油を加えたバスソルトを入浴に使う方法が手軽です。
出張先や旅先で使えば、長時間の移動で疲れた足のケアにも最適。
体が軽くなり心もリフレッシュできます。
余計なものを排出するため、ダイエットのサポートにもなります。
アロマバスソルト(半身浴1回分)
- ジュニパーベリー 2滴
- サイプレス 1滴
- 無水エタノール 小さじ1
- 天然塩 大さじ1
作り方
- 無水エタノールに精油を加え希釈します。
- 「1」を天然塩と混ぜ合わせたら出来上がりです。
Point
外出先へもっていきたいときは、無水エタノールを植物油(ホホバオイルなど)に変えると香りの持ちがよくなります。
「だるい体をケアするのに、さらにバスソルト作ってる余裕ないな・・・」
そういう時には、作り置きできるバスオイルが便利です。
時間があるときはぜひセルフトリートメント(マッサージ)を。
むくみもすっきりしますし、肌の調子もよくなりますよ。
美脚を叶えるスリミングオイル
むくみ・セルライトが気になるときにおすすめのブレンドです。
ジュニパーベリーには循環器系を刺激して余分な水分を排出させる働きが、グレープフルーツには穏やかな利尿作用、そして脂肪燃焼作用があります。
材料(両足1回分・20ml)
- ジュニパーベリー 2滴
- グレープフルーツ 2滴
- キャリアオイル(スイートアーモンドオイルなど)20ml
作り方
キャリアオイルに精油を加えてよく混ぜたら出来上がりです。
Point
グレープフルーツには光毒性がありますので、塗布後は日光に当たるのを避けましょう。
日中に使いたい場合は、グレープフルーツをサイプレスに変えてもOK。
こんなときに:むくみ、筋肉痛、肩こり、痔、関節炎、肩こり、腰痛、通風、疲労回復、解毒、月経不順、消化不良、神経強壮、咳、セルライト、冷え性、膀胱炎、リュウマチ など。
利用方法:芳香浴法、沐浴法、湿布法、トリートメント法 など
【肌への作用】
解毒+収斂作用は脂性肌のお手入れに最適
肌にも浄化作用を発揮、老廃物を取り除き肌を美しく整えます。
脂性肌のニキビや毛穴のつまり、皮膚炎に対し解毒作用、収斂(しゅうれん)作用が役に立ちます。
また、むくみなど血流が滞っている部分に働きかけ症状を和らげます。
油っぽくなりがちな頭皮のケアにも使えるほか、デオドラント作用に優れているので体臭を抑えるスプレーにも使えます。
血液を浄化して毒素を排出する力があることから、虫刺されのあとに使用するのも効果的です。
老廃物を除去するフェイシャルスチーム
べたつきが特に気になる日に。
皮脂のバランスを整え、ニキビケアにも役立ちます。
方法
殺菌・解毒作用を持つジュニパーベリ―(1滴)をお湯に垂らし、バスタオルを被って蒸気を顔に当てます。
粘膜を刺激してしまうので、目は閉じて行いましょう。
こんな時に:脂性肌のお手入れ、ニキビ、皮脂分泌調整、毛穴のつまり、頭皮のケア、デオドラント など
利用方法:沐浴法、手作りコスメ(オイル、化粧水など)、フェイシャルスチーム など。
ジュニパーベリーに期待される主な作用
引赤(いんせき)作用
鬱滞除去(うったいじょきょ)作用
駆風(くふう)作用
抗ウィルス作用
抗炎症作用
抗菌作用
抗カタル作用
強壮作用
解毒作用
健胃(けんい)作用
催淫作用
殺菌作用
刺激作用
収斂作用
自律神経調整作用
精神安定作用
鎮痙作用
鎮静作用
鎮痛作用
通経作用
瘢痕形成作用
分娩促進作用
発汗作用
瘢痕形成作用
利尿作用
他
薬理作用について詳しくは「【保存版】精油に期待できる薬理作用一覧」にて解説しています。
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【保存版】精油に期待できる薬理作用一覧
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【ブレンドのコツ】さまざまな精油とブレンド可能
爽やかな森の香りを演出したいときに。
さまざまな精油と調和しますが、ラベンダー、ローズマリー、グレープフルーツとは特に相性が良いです。
【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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アロマテラピーのルール(精油を安全に活用するために)
アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...
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ジュニパーベリーの使用にあたり気をつけること
妊娠中の使用は控えましょう。
腎臓の疾患がある場合は使用を避けましょう。
高濃度で使用すると皮膚刺激がありますので、敏感肌の方は注意しましょう。
腎臓に対し強力な作用があるので、長期にわたって使用すると腎臓を刺激しすぎてしまいます。
2週間以上など長期に渡る連続使用は避けましょう。
未熟な果実の精油は、腎臓を刺激するα-ピネンの割合が高くなります。
選べる場合は、40%以下の熟した果実の精油を選ぶと作用が穏やかです。
経験値が浅い方は使用を控え、他の精油を検討しましょう。
おわりに
心も体もすっきりクレンジング♪
今回は心身のデトックス作用に優れたジュニパーベリーをご紹介しました。
むくみがひどくだるさがあるときには、アロマバスでたくさん汗をかいてすっきりしましょう。
また、人混みに出るとどっと疲労感を感じてしまう時には、お守り代わりになってくれますよ。
今回の記事がお役に立てば幸いです。
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。