レモングラス(Lemongrass)の香りと作用
おすすめの使い方
タイ料理のイメージです。
それに、レモングラスから抽出される精油もなかなか役に立つのよ。
アロマセラピストがこんな疑問にお答えします
- レモングラスって果物のレモンと違うの?
- 水虫対策に使える?靴のお手入れ方法を教えて!
- 虫よけ効果はあるの?
- がんや認知症予防に効くって本当?
- レモングラスの効果・効能を知りたい
- どんな香りなのか知りたい!ブレンドはできる?
- どのような使い方ができるか教えて
目次よりお好きな項目からご覧いただくこともできます。
[toc]
アロマテラピーの効果が気になる方は先にこちらをどうぞ
-
アロマって効果あるの?体に作用する仕組み
アロマテラピーって本当に効果あるの? 体に作用する仕組みから根拠まで徹底解説 【あやふや→すっきり!】 「アロマ ...
続きを見る
レモングラスってどんな植物?
高温と日光を好む熱帯性の多年草で、レモンに似た香りを持っています。
年に2回以上収穫することもできるほど成長が早く、草丈の高いイネ科の植物です。
栽培には熱帯性気候が適しており、高温と日光を好みます。
肉や魚の臭み消しに食材として利用されますが、熱帯アジアやアフリカ大陸、ラテンアメリカなどでは熱病や感染症の予防に役立つハーブ(薬草)としても使われてきました。
レモングラスに期待される抗がん作用・認知症にも?
近年、精油とその成分による抗がん作用の可能性がわかってきています。
ある種の精油成分には、がん細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)を誘引するものがあるようなのです。
さまざまな研究者によって、精油ががん細胞の細胞死を引き起こす効果について実験研究が行われていますが、2006年にはレモングラスに含まれる芳香成分「シトラール」にその効果が見つかっています。
イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学の研究チームが、シトラールはカスパーゼ-3という酵素を誘導することで、健康な細胞を傷つけることなくがん細胞にのみ特異的にアポトーシスを引き起こすことを発見しました。
まだ基礎研究の段階ではありますが、今後期待したいですね。
また、星薬科大学特任教授を務められている塩田清二先生によると、レモングラス精油は脳の脳の血流量を増やすため、認知症予防・改善の効果が期待できるとのこと。
本件については、塩田清二 先生の著書「<香り>はなぜ脳に効くのか アロマセラピーと先端医療」が参考になります。
精油を認知症やがん治療に活用できる可能性があるとの見解に至った経緯についてわかりやすく解説されていますので、「正直、アロマテラピーってどれほどの信憑性があるのか疑問」という方にもおすすめ。
私自身が、その疑問を解消できた一冊です。
なお、私は「kindle unlimited 読み放題」で読みましたので、ご参考までに。
レモングラス(ハーブ)の効果・効能と活用法
レモングラスの柔らかい葉の部分は、生のまま(フレッシュ)もしくは乾燥させて(ドライ)ハーブティーとして飲用できます。
レモングラスは、爽やかなレモンのような香りを持つ飲みやすいハーブティーです。
飲みにくく感じるハーブティーがあれば、レモングラスを加えると飲みやすくなります。
どうしても口に合わないときは、ポプリとして使うのもありです。
レモングラスティーは、消化不良や食欲不振といった胃腸の不調や、感染症の予防に効果的です。
また、フラボノイドが含まれるため抗酸化作用も期待できます。
・子宮を刺激する可能性があるため、妊娠中に大量に飲用するのは避けましょう。
・イネ科のアレルギーがある方は使用を控えるか、事前に医師にご相談ください。
グリーン調の鮮烈で力強いレモングラスの香り
レモンに似たグリーン調の鮮烈で力強い香りです。
爽やかさの中にわずかな甘さも感じられる、とてもエネルギッシュな力をもつ香りです。
レモングラスの精油には、西インド型(Cymbopogon citratus)と東インド型(Cymbopogon flexuosus)の2種のタイプがあります。
西インド型(Cymbopogon citratus)はスリランカ、東インド型(Cymbopogon flexuosus)はインド原産といわれています。
香りとしては、西インド型のほうがやや柔らかさと爽やかな甘さがあり、東インド型は比較的すっきりとした印象です。
どちらかお好みの香りを選ぶと良いでしょう。
原料植物名:レモングラス
科名:イネ科
学名:西インド型:Cymbopogon citratus(キンボポゴン キトラトゥス)
東インド型:Cymbopogon flexuosus(キンボポゴン フレクスオスス)
主な産地:
西インド型 インド、マダガスカル
東インド型 インド、ネパール
抽出部位:葉
精油製造法:水蒸気蒸留法
主な成分:
西インド型 シトラール、ミルセン、メチルへプテノン
東インド型 ゲラニオール、シトラール、ネロール、メチルへプテノン
レモン様の香りを持つ精油は、下記ページでも解説しています。
-
-
親しみやすいレモン精油の魅力
レモン(Lemon)の香りと作用 おすすめの使い方 アロマって、なじみがない人には使いにくいですよね・・・。 & ...
続きを見る
爽やかな香りが元気をくれる 心への作用
気持ちをしゃきっとリフレッシュさせたいときに。
頭から離れない悩みや精神疲労、極度の緊張があるときに、冷静さをもたらし解決策を生み出せるようサポートします。
精神的に疲労困憊している時、パワーダウンしていると感じるときに使うと、その爽やかな香りが元気を回復させます。
また、心の中にわだかまりが残っているときにはそれを解放するよう働きかけ、精神を高揚・活性化して、やる気や集中力を高めてくれます。
こんなときに:興奮、緊張、神経過敏、記憶・集中力の低下、無気力、疲労、眠気覚まし など
利用方法:芳香浴法、ルームフレッシュナー など
胃腸の不調からスポーツ後のクールダウンまで 体への作用
優れた強壮作用があり、食欲を増進させる、消化を助ける、内分泌系を刺激するなどの働きで病気の回復を助けます。
シトラールを多く含有するため抗ウィルス作用も顕著で、のどの痛み、扁桃腺の炎症、そこからくる発熱など、呼吸器系の感染症の予防にも役立ちます。
鎮痛作用や乳酸を除去して循環を刺激する効果があり、筋肉の働きを高めることから、ねんざ、筋違い、筋肉痛、肩こり、筋肉疲労の緩和にもお勧めです。
スポーツ後の筋肉のクールダウンや脂肪やセルライトのケアにも適しています。
こんなときに:筋肉痛、肩こり、むくみ、疲労、冷え性、腰痛、セルライト など
利用方法:芳香浴法、吸入法、トリートメント法 など
ねんざや打撲は適切な治療を受け問題がない場合に、トリートメントオイルを塗布するにとどめましょう。
スキンケアにデオドラント、虫よけ…マルチに活躍!
肌に対しては、毛穴を引き締める効果、皮脂バランスを整える効果があり、ニキビのケアにお勧めです。
また、水虫の改善にもよく用いられます。
殺菌作用、デオドラント作用に優れ、夏は過度の発汗や体臭の予防に役立ちます。
メモ
レモングラス精油の主成分シトラールは強力な抗菌作用、抗真菌作用をもっています。
足のにおいが気になる原因は、常在菌である表皮ブドウ球菌が汗の中に含まれているロイシン(アミノ酸の一種)を代謝してイソバレリアン酸を放出するためです。
この匂いを出す犯人の微生物をシトラール、シトロネラール、ゲラニオールが低い濃度で押さえることができることがわかっています。
この抗真菌作用は、靴のお手入れにもとても役立ちます。
帝京大学・大学院教授の安部茂先生によると、シトラールには白癬菌(水虫を起こす菌)を殺す作用があるとのこと。
そのため、ティッシュにレモングラス精油を1〜2滴を染み込ませ、靴の中に入れ、アルミホイルなどでフタをして密閉して1晩置くと水虫菌を殺菌できるそう。
繰り返し使うには、アロマストーンを使うと便利でよいですね。
下記の動画がわかりやすいです。
また、防虫効果にも優れており、ノミやダニ、ハエ、ゴキブリといった害虫除けにも活用できます。
こんなときに:ヘアケア、ニキビ、デオドラント、消臭、皮膚真菌症(水虫) など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、ルームフレッシュナー、手作りコスメ など
「レモン」をしっかり香らせる
レモングラスをブレンドするコツ
香りのタイプ:柑橘系
香りのノート:ミドル
香りの強さ:強
ローズマリーやスイートマージョラム、ブラックペッパーなど、ハーブやスパイスの香りとよく調和します。
レモンは揮発が早いのですが、レモングラスはミドルノートで香りの持ちが良いため、レモン様の香りをしっかりと出したいときにはレモングラスを使うと良いでしょう。
レモングラスは、暑い夏をイメージさせる香りである一方、落ち着いたオリエンタルな雰囲気を作り出すことも得意です。
少々香りに癖があり、合わない場合は気持ちが悪くなることもあるので、少量から試してみましょう。
おすすめのブレンド・レモングラス精油の活用レシピ
精油は一つでも十分な効果を得ることができますが、ブレンドすることで相乗効果を期待できます。
レモングラス×ジュニパー×ローズマリー
スポーツ後のトリートメントに最適
スパイシーなジュニパー、シャープなローズマリーをレモングラスが柔らかくまとめていて、男性にもお勧めできます。
筋肉の疲労をとるのに最適なブレンドですので、スポーツ後のトリートメントにどうぞ。
トリートメントオイル
準備するもの(全身1回分)
- 植物油(スイートアーモンドオイルなど) 30ml
- レモングラス、ジュニパー、ローズマリー・シネオール 各2滴
作り方
植物油に精油を加えよく混ぜます。
使い方
こわばりやコリのある部分にトリートオイルを塗布し、マッサージします。
保管
余ったトリートメントオイルは、遮光瓶に入れ冷暗所で保管します。
2週間以内に使い切るようにしましょう。
ビオオイル(スイートアーモンドオイル含む)の購入リンクはこちら
なお、デトックス効果にも優れているため、肩こりやむくみが気になる方はバスソルトで使うのもお勧めです。
アロマバスソルト
準備するもの(全身浴用1回分)
- 無水エタノール 5ml
- 天然塩 大さじ1
- 精油(レモングラス2滴、ジュニパー1滴、ローズマリー・シネオール2滴)
作り方
- 無水エタノールに精油を加え希釈します。
- 「1」に天然塩を加えたらできあがりです。
※入浴前に作るようにし、作成後はすぐに使用しましょう。
-
-
ジュニパーベリーでデトックス
ジュニパーベリー(Juniper Berry)の働きと おすすめの使い方 「仕事柄座りっぱなしだし夕方は足がだるいなぁ。足先冷 ...
続きを見る
レモングラス×ペパーミント×サイプレス
暑い夏も爽やかな香りで快適にすごそう
レモンとミントが爽やかなウッディ調の香りです。
レモングラスとペパーミントの抗菌作用、サイプレスの収斂作用でデオドラント効果が期待できます。
夏用のボディローションやジェルを手作りするのもおすすめです。
夏用ボディローション
準備するもの(50ml分)
- スプレー容器(50ml)
- 精油(レモングラス3滴、ペパーミント2滴、サイプレス5滴)
- 無水エタノール(5ml)
- 精製水もしくはラベンダーウォーター(45ml)
作り方
- スプレー容器に無水エタノールと精油を入れ希釈します。
- 「1」に精製水を加えてできあがりです
※使用前にはよく振りましょう。
上記にキサンタンガムを加えるか、精製水(もしくはラベンダーウォーター)を無香料のジェル基材に代えることでボディジェルにすることもできます。
-
-
ペパーミントの爽やかな香りでリフレッシュ&クールダウン
ペパーミント(Peppermint)の働きと おすすめの使い方 アロマが初めての方にもおすすめのペパーミント。 ...
続きを見る
-
-
サイプレスに期待できる作用と使い方【気になる疑問を一気に解消】
サイプレス(Cypress)の働きとおすすめの使い方 「リビングでのんびり過ごすのに最適な香りってどれ?」 &n ...
続きを見る
レモングラス精油の主な作用
強壮作用
駆風作用
抗うつ作用
抗真菌作用
昆虫忌避作用
殺菌作用
殺真菌作用
刺激作用
消化促進作用
デオドラント作用
利尿作用
他
精油の薬理作用 芳香植物は、魅力的な香りで私たちをひきつけます。 各植物の個性の一つである精油は、植物がその種の生き残りをかけて作り出した物 ... 続きを見る
【保存版】精油に期待できる薬理作用一覧
【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
-
-
アロマテラピーのルール(精油を安全に活用するために)
アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...
続きを見る
レモングラス精油を使うときに気をつけること
妊娠中の使用は控えましょう。
高濃度での使用や敏感肌の場合は皮膚刺激を与える可能性があります。
作用が強いので、少量(0.5%以下)のブレンドで十分な効果を得られます。
眼圧を上げる可能性があるので、緑内障の方への過度の使用は避けてください。
イネ科のアレルギーがある方は、肌への使用を避けるか、事前に医師にご相談いただくと安心です。
空気や光にさらされるとシトラールの含有量は徐々に減ってしまうため、新鮮なものを購入し、1年以内に使い切るようにしましょう。
おわりに レモングラス精油の魅力
レモングラス精油についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
爽やかなグリーン調の香りは、仕事合間のリフレッシュにも、落ち着いた雰囲気のリラクゼーションにも使うことができます。
疲労回復や呼吸器、消化器の不調を和らげるほか、皮膚の感染症予防にも香りを漂わせるだけで対処できてしまう優れもの。
ぜひ上手に活用してみてください。
レモングラス精油の利用方法について
精油の利用方法について、詳しくは下記ページでご紹介しています。
-
-
アロマテラピー利用法
知らなきゃもったいない!アロマテラピー利用法 アロマって香りを焚くだけだし簡単でいいですよね。 ち ...
続きを見る
-
-
アロマテラピーの基礎知識
アロマテラピーの基礎知識
続きを見る
精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。