マンダリン(Mandarin)の香りと作用
おすすめの使い方
オレンジに比べるとより柔らかく繊細な印象になるかな。
詳しく見ていきましょうね。
こんな疑問にアロマセラピストがお答えします
- マンダリンってオレンジの仲間?どんな植物?
- マンダリンってどんな香り?
- マンダリンの効果・効能を教えて
- 相性の良い精油は?ブレンドのコツが知りたい。
- どういう使い方ができるか教えて
目次よりお好きな項目からご覧いただくこともできます。
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マンダリンってオレンジ?どんな植物?
マンダリンは、日本で一般的に「みかん」と呼ばれるもの。
樹形は小ぶりで小さなつやのある葉をもち、たくさんの実をつけます。
オレンジとは異なり、果実の皮が薄くてむきやすい特徴があり、その甘い実は食用、香料として利用されています。
温州ミカンやポンカンはマンダリンの仲間です。
マンダリンとは中国清朝の上級官氏(マンダリン)のことを意味し、この果物が彼らへの贈り物としてよく使われたことから名づけられたといわれています。
近種と言われるタンジェリンに比べて芳香性に優れ、リキュールやアイスクリーム、ケーキなどの食品の香りづけとしても人気があります。
果皮を乾燥させたものは、漢方では「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれ、健胃、発汗、咳止めに用いられます。
甘くフローラルで芳醇なマンダリンの香り
デリケートで甘いフローラル調、やや落ち着いたオレンジのような印象です。
柑橘系のオイルの中でも特に甘く、子どもたちにも好かれる心地よい香りです。
穏やかな香りは万人に好まれ作用も穏やかなので、子どもからお年寄りまで安心して使えます。
柑橘系の中でも光毒性は極めて低く、フランスでは安心して使えるとして「子どものための精油」と呼ばれることもあります。
メモ
マンダリンの変種にあたるタンジェリンからとれる精油もあります。
「Citrus reticulata var.tangerine」と種名の後に変種名が表記されています。
マンダリンと比較するとリモネンが若干多く、オレンジに似た甘い香りですが、作用はマンダリンとほぼ同様です。
主成分リモネンと微量成分の酢酸ベンジル、アンスラニル酸ジメチル、リナロールがマンダリンらしさを特徴づけています。
アンスラニル酸ジメチルには抗不安作用があり、うつ状態や不安を和らげるよう働きます。
関連
精油の中で最もアンスラニル酸ジメチルが多く含まれているのが、マンダリンの葉から抽出される精油プチグレン・マンダリン。
マンダリン(果実)よりも50%以上多く存在しています。
学名:Cirtus reticulata(キトゥルス レティクラタ)
科名:ミカン科
抽出部位:果皮
主な産地:中国、地中海沿岸諸国、イタリア、スペイン、シシリ一島
精油の抽出方法:圧搾法
精油の色:淡緑がかった黄色~オレンジ色
主な芳香成分(目安):
リモネン 70~80%
γ-テルピネン 10~20%
その他 (α-ピネン、β-ピネン、アンスラニル酸ジメチル、酢酸ベンジル、リナロール それぞれ微量)
※精油の含有成分や割合は、産地や気候などにより異なります。
甘く繊細な香りのマンダリンは子どもにおすすめ
マンダリンには、柑橘系の精油に良く含まれているリモネンやシトラール、シトロネラールのほかに、アントラニル酸ジメチルという芳香成分が含まれています。
そのため、同じミカン科のオレンジより甘く繊細な香りを放ちます。
デリケートな心理状態や子どもへの使用に大変適しています。
小さい子どもの腹痛には、ローマンカモミール、ラベンダーなどとブレンドした芳香浴が役に立ちます。
お子様のこんなケースにおすすめ
- ぐずっているとき
- 落ち着きがないとき
- 情緒不安定さがみられるとき
- 緊張
- 消化不良
- 学校行事などでの緊張や不安を取り除く
簡単なのは芳香浴ですが、お母さんがこの香りをつけて子どもと一緒にいてあげることもおすすめ。
低濃度のトリートメントオイルや香水、香油を作っておくと便利です。
サンダルウッドやベンゾインとブレンドすると、より鎮静効果が高まります。
ローマンカモミール、サンダルウッドの詳細については下記をご参照ください。
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柑橘系の中ではリラックス作用が高いマンダリン
ポイント
- 沈んだ気分や不安などを取り除いたり和らげる
- 明るく晴れやかな気分をもたらして元気づける
- 現実に追われて目の前のことを楽しむ余裕がないとき
- 結果が出ないことで自信をなくしたり自己不振に陥っているとき
- 気を張り詰めていて疲れに気づかない状況
- 些細なことで過敏になり、疲労困憊してしまう
爽やかさと甘さをあわせもつこの香りは、気分をリフレッシュさせます。
柑橘系の中では交感神経を鎮静し、リラックス効果させる効果が強いです。
不安やうつ状態、神経過敏などのデリケートな心理状態に役立ち、気持ちを明るく元気づけてくれます。
子どもはもちろん、大人にもまた満たされた気持ちにして精神的安定をもたらしてくれます。
沈んだ気分や不安などの緩和には、プチグレン・マンダリン(葉)とのブレンドが相乗効果が期待できておすすめ。
脳の下垂体の安定を図る作用があるといわれ、内分泌系の不調に使われる臨床例があります。
こんなときに:不眠、興奮、緊張、心配、考えすぎ、不安、恐怖、うつ状態、怒り、攻撃性、自律神経のアンバランス、動揺、ストレス、月経前緊張症(PMS)、更年期障害、不眠症 など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法 など
ストレス性の胃腸の不調に最適
ポイント
- デトックス(むくみの解消・セルライトの予防)
- 消化器系の不調
- 血行促進
- 食欲増進
デトックスの効果が高く、体内の余分な水分を排出してむくみを解消したり、セルライトの予防にも有効です。
消化を刺激して食欲を刺激する作用があるため、病気をした後や気分の落ち込みにより空腹感がなくなった時に適しています。
胃腸の働きを良くするので、消化不良の時や便秘、下痢、腸内ガス(鼓腸)、ストレス性の胃痛の軽減にも効果を発揮します。
芳香浴法でもちいると、ストレス性の喘息の予防になるといわれています。
できてしまった妊娠線や傷跡を薄くする効果も
ポイント
- セルライトの予防
- 妊娠線や傷跡を薄くする
- 皮膚軟化作用があり、肌を滑らかに整える。
- 皮膚の老化防止
- ニキビ
- ヘアケア・脱毛
- デオドラント
急激な体重増加の際、皮膚に白い筋が入るストレッチマーク(伸展腺)の予防に役立ちます。
また、できてしまった妊娠線や傷跡を目立たなくするのにも適しています。
皮膚を軟化し、細胞を修復、組織を強めるため、ネロリやラベンダーとの組み合わせがお勧めです。
また、ダイエット後のたるみにはトリートメントオイルを作ってセルフマッサージに使いましょう。
脱毛の予防、ふけや油っぽい頭皮のケアにも使われます。
香りがよく消臭・デオドラント作用に優れ、ご高齢の方のデオドラントスプレーや芳香浴に加えると心地よく使えます。
柑橘系の中では持ちが良い ブレンドのコツ
香りのタイプ:柑橘系
香りのノート:トップ
香りの強さ:中
相性の良い主な精油:花、柑橘系、樹脂、ハーブ系の精油。
コリアンダー、ネロリ、バジル、スイートマジョラム、クラリセージ、ジュニパーベリー、ジンジャー、ゼラニウム、ローズマリー、ローマンカモミール、パルマローザ、ローズ など
柑橘の中では香りに持続性があり、トップ~ミドルに分類されることもあります。
ブレンドがとがったように感じるとき、マンダリンを少量加えると香りがまろやかになります。
他の柑橘系の精油とのブレンドも相乗効果が期待できてよいでしょう。
マンダリンのおすすめブレンド
精油は一つでも十分な効果を得ることができますが、ブレンドすることで相乗効果を期待できます。
マンダリン×ベンゾイン
ぬくもりを感じさせてくれる甘い香り
甘いスイーツのような香りです。
いずれも緊張や不安をやわらげ落ち着かせるとともに、高揚作用で明るい気持ちももたらす香りで安らぎます。
香油をロールオンタイプの容器に作っておくと、お母さんとお子様両方に作用が期待できます。
ママと子どもの香油
準備するもの
- マンダリン 1滴
- ベンゾイン 1滴
- ホホバオイル 7ml
- 茶色遮光ガラスロールオンボトル 7ml
- ラベル(作成日を記載)
作り方
- ボトルの肩口までホホバオイルを入れます。
- 精油を加え、ふたを閉めてよく振ります。
- 作成日を記載したラベルを貼って出来上がりです。
使い方
耳の後ろや胸元、手首などに塗って香りを楽しみます。
なお、日中に使用する場合は、直射日光に当たらない個所に使用しましょう。
局所的な使い方になるため2滴としていますが、心配な方は1滴(~1%)に加減してください。
保存
直射日光をさけ、2週間を目安に使い切るようにしましょう。
ベンゾインとホホバオイルの作用について詳しくは下記をご参照ください。
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マンダリン×ラベンダー
スキンケアを華やかな香りと
マンダリンに含まれるリモネンには血行促進作用があり、ラベンダーのゲラニオールには肌を活性化させる力があります。
また、いずれも肌を柔らかく保ち、傷跡を薄くする効果がありますので、美容オイルで使用するのもおすすめです。
マンダリンの美容オイル
準備するもの
- マンダリン 1滴
- ラベンダー 1滴
- お好みの植物油 20ml
- 遮光ガラス製容器
- ビーカー
- ラベル(作成日を記載)
作り方
- ビーカーで植物油を測り容器に移します。
- 精油を2滴加え良く振ります。
- 作成日を記載したラベルを貼って出来上がりです。
使い方
化粧水の後、1~2滴を手のひらにとり温めたら顔全体に薄く伸ばします。
日光を避けるため、夜のスキンケアに使用しましょう。
保存方法
直射日光を避けて密閉容器に保管し、2週間を目安に使い切るようにしましょう。
ラベンダーの作用について詳しくは下記をご参照ください。
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なお、ラベンダーはネロリやローズにしても同様のスキンケア効果が期待できます。
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マンダリンに期待できる作用
緩和作用
血行促進作用
鎮静作用
鎮痙作用
強壮作用
細胞成長促進作用
消化促進作用
皮膚軟化作用
緩下作用
抗うつ作用
健胃作用
発汗作用
自律神経調性作用
抗不安作用
駆風作用
抗菌作用
抗ウィルス作用
強肝作用
高揚作用
など
精油の薬理作用については下記ページにて解説しています。
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【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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マンダリンの使用で気をつけること
光毒性は低いといわれていますが、塗布直後に日光に当たるのは控えましょう。
敏感肌の方は皮膚を刺激する可能性がありますので、低濃度から試してみましょう。
マンダリン Cirtus reticulata
タンジェリン Citrus reticulata var.tangerine
おわりに マンダリンの甘く繊細な香りに癒される
マンダリンは香りも作用も穏やかでとても使いやすい精油です。
甘く繊細な香りはお子様からご高齢の方までご利用できます。
柑橘系の中ではリラクゼーション効果が高く、リフレッシュさせるだけでなく、不安を和らげ緊張を解く作用も優れています。
次のおすすめの記事はこちら
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。