Aromatherapy

アロマって効果あるの?体に作用する仕組み

01/06/2020

アロマテラピーって本当に効果あるの?
体に作用する仕組みから根拠まで徹底解説
【あやふや→すっきり!】

 

健康維持・美容に役立つといわれるのはなぜか、徹底解説します!

 

アロマって本当に効果ありますか?

 

ただ香りを嗅ぐだけで、なぜ身体や心に影響するのでしょうか?

 

体にいいと聞けば試してみたくはあるものの、実際に購入するとなると気になるのはその効果ではないでしょうか

 

近年、香りが脳にもたらす影響について信頼できる科学的根拠に基づく論文が次々に発表されています。

 

この記事では、現時点で明らかにされている精油の香りが体に作用するメカニズムや研究結果、そのほか素朴な疑問についてなるべくシンプルにわかりやすく解説していきます。

 

読み終えたら、アロマの見方がちょっと変わるかも?

 

どうぞお楽しみください♪

 

こんな疑問にアロマセラピストがお答えします

  • アロマって本当に効果あるの?
  • どうして香りを嗅ぐだけでリラックスするの?
  • 認知症に効果があるってどうして?
  • 苦手な香りでも効果はあるの?
  • アロマに科学的根拠はあるの?
  • 慣れてきたらだんだん効かなくなる?
  • 危険は?体に害はないの?

 

なお、このページはアロマテラピーに関する解説であり、合成香料についてはあてはまらないことをあらかじめご承知おきくださいませ。

 

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香りを嗅ぐだけで効果があるの?
体に作用するメカニズムを解説

 

香りが体に作用するルートは、大きく分けて4つあります。

 

そのうち、経口および直腸・膣からの吸収はリスクが高く家庭では行いません。

 

今回は残り2つの「呼吸器からの吸収」と「皮膚からの吸収」をご紹介します。

 

 

【鼻から脳へ】
嗅覚だけが持つ「感じる脳に直接働きかける力」

 

五感の中で唯一、嗅覚だけが大脳辺縁系に直接作用する経路を持ちます。

 

芳香浴やアロマバス、ハーブティーを飲みながらその香りを楽しむ。

 

それが鼻から脳へ伝わるルートです。

 

精油の香りを嗅ぐと、その香り成分は鼻の空間の天井部分にある匂いを感知するセンサーに届きます。

 

香り成分が触れるとセンサーは興奮を起こし、その興奮はケーブル(神経)を伝って「感じる脳(大脳辺縁系)」へ届けられます。

 

感じる脳(大脳辺縁系)」は、食欲、性欲、睡眠欲、意欲などの本能や喜怒哀楽、情緒、神秘的な感覚、睡眠や夢などを担当しています。

 

その後、より高度な機能を発揮する「考える脳(大脳新皮質)」へ伝わり、過去の記憶と照らし合わせて何の香りか認識されます

 

五感の中でも、喜怒哀楽といった感情や心地よい感覚に関わる「感じる脳」に直接伝わるのは嗅覚だけです。

「考える脳」を経てから「感じる脳」に至る視覚や聴覚などほかの感覚よりも、嗅覚は生物としての本能や感情を揺さぶる力が強く、反応が早いことがわかっています。

 

嗅覚は記憶と深い関りがある…

そういえば、お線香のにおいが好きなのって、おばあちゃんの家を思い出してほっとするからなのかも。

 

精油は、視床下部や脳下垂体を刺激し、神経やホルモンのバランスを調整すると考えられています。

 

なお、感じる脳(大脳辺縁系)に伝わった刺激は、神経やホルモン、免疫のバランスの調整役(視床下部ししょうかぶ下垂体かすいたい)へも届けられ全身に影響を与えます

 

香りを嗅いで気分に変化が起きたり、全身のバランスが整ったりするのはこのルートで香りの成分が伝わっているからなのです。

 

研究では、ラベンダーネロリの香りはセロトニンの分泌を促進させ、神経系を鎮静リラックス効果を得られることがわかっています。

 

ポイント

香りによって人の気分(情動)が左右されるのは、嗅覚が大脳辺縁系を刺激するルートを持っているから。

精油の香りは嗅覚と感覚認知に影響を与えるだけではなく、感情や記憶、自律神経系、内分泌系、免疫系などにも作用し、心と体のバランスをとるよう働きかけてくれます。

 

また、空気と一緒に取り込まれた精油成分の一部は、、呼吸器(鼻、器官、気管支、肺の粘膜)や肺胞内でのガス交換の際に、毛細血管を通じて血液に入り、血流にのって全身に運ばれます。

 

 

【肌から全身へ】
アロマトリートメントで極上の癒し体験

 

アロマトリートメントでは、嗅覚からはもちろん肌からも精油をとりいれることができます。

 

トリートメントオイルや手作りコスメなどで精油を肌から吸収する、それがこのルートです。

 

肌の表面は、異物をたやすく体内に侵入させないようにバリア機能を備えています。

 

しかしながら、精油は油に溶ける性質があるため、肌の表面を守る皮脂膜に溶け込みます。

 

また、精油の成分はとっても小さいため、血管やリンパ管まで入ることができ、血液を介して全身へと運ばれ各器官に働きかけるのです

 

なお、精油成分の種類によっては、殺菌作用によりニキビをケアしたり、浸透した肌の内部で保湿成分を補ったり、肌の生まれ変わりを促進するなどの働きをします。

 

アロマトリートメントでは、植物油で精油を薄めて使いますから、その植物油の美肌効果も得ることができます。

 

精油を使ったアロマトリートメントで肩こりや冷え性が緩和されたり、精油を使ったコスメで肌がしっとりするのはこのためです。

 

ポイント

精油を肌に塗ると、塗った部分の肌には美肌効果、そして血流に体のすみずみまで行き渡り、全身に働きかけてくれます。

 

血流にのって全身をめぐるって、いいような怖いような。

それって害はないんですか??

 

「高浸透処方」って謳われている化粧品もあくまで「浸透」レベル。塗った部分にのみ作用するものなの。

精油は体の内部まで「吸収」される可能性がある点に違いがあるけれど、肌はいくつもの細胞の層でできていて血中に到達するのはごく一部。

そういった精油の特性を踏まえて、アロマテラピーでは安全に使うためのガイドラインが定められています。

 

アロマテラピーのルールについてはこちらをご参照ください。

 

アロマテラピーのルール(精油を安全に活用するために)

アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...

続きを見る

 

 

アロマテラピーの科学的根拠は?

 

アロマテラピーの研究は急速に進められています。

 

芳香植物の利用は古代エジプトに始まり、以降、医療の主流として利用されてきました。

 

つまり、人々が有効活用してきた歴史が先にあり、私たちはその先人たちの蓄積してきた知恵を基にアロマテラピーを生活に活かしているのです。

 

現在は、そこに科学的アプローチをとることで有効性や安全性を担保し、多くの人の理解を得られるよう取り組んでいる段階といえます

 

19世紀に入り、天然物化学の発展やペニシリンといった抗生物質の開発により、植物療法は表舞台から姿を消すことになりました。

 

日本では精油は医薬品ではなく「雑貨」扱いであり、薬と誤解を招くような表現は禁じられています。

 

 

医療ではないアロマテラピー
注目されているのはなぜ?

 

アロマテラピーは、医療への応用や生活の質の向上において期待されています。

 

それでもなぜ注目されているのか。

 

それは、香りが脳に直接作用するメカニズムが医学的に解明されるにつれて、今後、医療への応用や生活の質の向上において期待される分野であることがわかってきたからです。

 

西洋医学では太刀打ちできなかった、治りにくく予防しにくいさまざまな疾患のケアに役立つ手段として伝統的な医療が見直されつつあるの。

アロマテラピーもその一つとして注目を浴びています。

 

最近では、認知症予防や終末期ケアなどが注目されているそうです。

 

 

アロマで認知症を予防できる可能性がある?

 

アロマテラピーで認知機能を改善できる可能性が示唆されています。

 

最近の研究で、認知症患者が精油のにおいを嗅いで、認知機能を改善できることがわかってきています

 

脳の神経細胞(ニューロン)で数少ない再生されるものの一つに嗅神経があります。

 

外部からのにおい刺激を与えると、脳の衰えた部分、あるいはその周辺に働きかけるようで、重度のアルツハイマー病患者にも認知機能改善が見られます。

 

下記リンク先にて、本件に関する情報をご確認いただけます。

 

 

 

 

上記の研究結果を受け、対応した商品も販売されています。

 

 

 

医療分野でアロマテラピーを活用している国もある

 

医療としてアロマテラピーが行われている国もあります。

 

フランスやベルギーでは、医療行為として認められていることもあり、代替だいたい補完医療ほかんりょうほうとしてのアロマテラピーの活用が活発です。

 

なお、日本では医療分野でのアロマセラピーの普及を目的として、医療従事者から構成される「日本アロマセラピー学会」が設立されています。

 

 

 

日本で行われているアロマテラピーの研究と書籍

 

アロマに関する研究結果が続々報告されています。

 

AEAJでは、アロマに関する研究結果を公式ホームページで公開しています。

 

アロマトリートメントが睡眠や免疫に及ぼす影響やなど、実際に行われた実験とその結果を確認することができます。

 

 

精油が計算ミスとストレス軽減に寄与した例や精油の制菌作用など、興味深いものがたくさんありますよ。

 

東邦大学のホームページには、嗅覚とアロマテラピーに関する記事が公表されています。

 

 

東邦大学名誉教授の鳥居鎮夫氏(1924-2012)は、日本アロマテラピー学術研究における先駆者的存在の人物であり、『随伴性陰性変動(CNV)』と呼ばれる特殊な脳波を用いて、香りによる心理作用を実証されました。

 

また、アロマテラピーの有用性に関しては、下記の書籍がお勧めです。

 

精油を認知症やがん治療に活用できる可能性があるとの見解に至った実験や調査を詳しくわかりやすく解説されています。

 

「正直、アロマテラピーってどれほどの信憑性があるのか疑問」という方におすすめ。

 

私自身が、その疑問を解消できた一冊です。

 

 

 

アロマの素朴な疑問にお答えします!

 

使い方を誤ったら危険?
アロマテラピーによる害はないの?

 

精油は正しい知識をもって扱うことが大切です。

 

香りが脳に及ぼす作用は想像以上に大きいのですが、体に吸収されるのは微量であるため、副作用が少ないことがわかっています。

 

なお、料理に使うお塩であっても致死量を超えた摂取は死に至る危険があるように、精油も正しい知識を持って取り扱う必要があります。

 

本件についてはこちらをご参照ください。

 

アロマテラピーのルール(精油を安全に活用するために)

アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...

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ずーっと続けると香りに慣れてしまう?
効果は薄れるの??

 

嗅覚は「慣れが早い」という特徴があります。

 

嗅覚は、危険の回避などの生命維持に重要であるため早期に発達した感覚です。

 

そのため、悪臭、ガスや腐った食べ物のにおいに瞬間的に気づくよう、慣れ(順応じゅんのう)が早いという特徴があります

 

確かに、慣れて感じなくなっていると、新しく違う匂いがしてきたときに気づきやすい気がしますね。

 

香水も、香りが飛んでしまったな…と午後に付け足すと、周囲の人には香りがきつく感じられることがあるわよね。

これは、自分の鼻が慣れてしまっていたから。

違う香りを嗅いだ後にはまた感じられるようになります。

精油を焚いても時間がたつと香りを感じなくなるけれど、部屋を出入りすると香りははっきりと感じられるようになります。

 

なお、日常的に使う場合は作用に慣れてしまうため、ある程度の期間(1~2か月ほど)でレシピを変えたほうがいいといわれています。

 

また、アロマトリートメントでは使用過多を避けるため、2週間以上毎日使用することは控え、2週間たったら1週間休むなど間隔を開けましょう。

 

手作りコスメで用いる場合は濃度が低くなりますので、1か月を目安にブレンドを変えるのがお勧めです。

 

定期的に使用を休んだり、レシピを変えたり、工夫することでより安全に活用できます。

 

吸収された精油は体内をめぐり、腎臓、肝臓に運ばれて解毒・代謝され、不要なものとして尿や便、吐く息、汗などがら体外に排泄されます。

吸収される量はごく微量とはいえ、体内に蓄積させることは好ましくありません。

必要な働きを終えたらきちんと排泄されるよう、体を温めて血液循環や発汗を促したり、温かい飲み物を多めにとることを意識してみるといいですよ。

 

 

苦手な香りでも効果はあるの?

 

心地よく感じる精油を選んだ方が効果は出やすいです。

 

香りが苦手だと感じる場合は、思ったような効果が得られない可能性があります。

 

その場合は、同じ効果を期待できる精油の中から心地よく感じる香りを選んだり、他の精油とブレンドするなど工夫してみましょう。

 

私、実はラベンダー苦手なんです。

 

ラベンダーは、案外苦手な人も多いようね。

血圧を下げる作用があるから、低血圧の女性は体が好まないのかもしれないわね。

 

リラクゼーション効果に優れた精油は他にもたくさんあるから、同じ効果を期待できるものから好みの香りを選ぶことをお勧めするわ。

スイートオレンジとブレンドするとよりなじみやすい香りになるから、手元にある場合はブレンドで工夫するのもよいわね。

 

アロマを活用していて感じるのは、体は必要なものを知っているのだ」ということ

 

いい香り~♪と感じる精油の作用を確かめてみると、驚くほどぴったり当てはまってたりするんです。

 

そのため、お好きな香りを見つけたうえで期待できる作用を確認するのもよいかもしれません。

 

香りが苦手だと感じときは、その時の体調に適していないのかもしれないな?と考え、香りから体調を知っていくのもおすすめです。

 

さまざまな香りを試すうちに、毎日、毎時間、体は変化しているのだということがわかっていきます。

 

また、香りに慣れてきたり、温かな思い出とともに記憶されたりするとほっと感じるように変化することもあります。

 

 

心地よい香りに癒されたい…
リラックスタイムにお勧めの香り

 

アロマテラピーは精油が一本あればできます。

 

アロマテラピーは、精油が1本あればできるとっても手軽なものです

 

マグカップにお湯を注ぎ、精油を垂らすだけでお部屋中に心地よい香りが漂います

 

まずは香りを焚いて楽しみたい!という方には、香りが整えられているブレンドオイルから始めるのがお勧めです。

 

アロマテラピーが初めての方には、ラベンダーのみより親しみやすいオレンジや香りのよいベルガモットを組み合わせた下記のようなブレンドがお勧めです。

 

 

 

女性ホルモンのバランスを整える作用に優れたまさに女性のためのブレンド。

 

「ローズ」は特に、傷ついた心のケアはもちろん、女性としての魅力を高めたい、自信をつけたいときにもおすすめ。

 

華やかながらパワフルにサポートしてくれる頼りになる香りです。

 

 

ラベンダーハーブのクールダウン効果で、ストレスのない眠りを導く香りです。

 

シダーウッドやジュニパーなどスパイシーでウッディーな香りを組み合わせ、すっきりと清々しい香りに仕上げています。

 

洗練されたクールな印象で男性にもおすすめです。

 

スプレータイプならベッドルームにさっと吹きかけるだけで利用できて便利ですね。

 

 

 

アロマテラピーの利用法についてはこちらでご紹介しています。

 

アロマテラピー利用法

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アロマテラピーを活用して健やかな毎日を

 

アロマテラピーはルールを守れば手軽に安全に楽しむことができるものです。

 

トレッキングに出かけて森の香りを嗅いでリフレッシュしたり、反対に不快なにおいで気持ちが悪くなったり…。

 

私たちは匂いを嗅ぐと「体や心が何らかの反応をする」という体験を日常的にしています。

 

このように、アロマが嗅覚経路に作用することは間違いありません。

 

ただ、体が心身に与える影響は未だ謎に包まれている部分が多くあり、現在は科学的アプローチでその有用性が確かめられている最中です。

 

しかしながら、アロマテラピーは、ルールを守れば手軽に安全に楽しむことができるものです。

 

日常のちょっとした不調や疲れたなぁと感じるときに、まずは手軽にできるものから試してみてはいかがでしょうか。

 

心と体に心地よい生活は、あなたの人生をいきいきとより輝かせてくれるに違いありません。

 

精油は体と心に働きかける力をもっています。

しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。

香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。

心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。

 

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