プチグレン(Petitgrain)の香りと作用・おすすめの使い方
こんな疑問にアロマセラピストがお答えします
- プチグレンってどんな香り?
- どんな効果・効能が期待できるの?
- ネロリとはどのような違いがあるか教えて
- 光毒性はある?気をつけるべきことは?
- 使い方や相性のいい精油、ブレンドのコツを知りたい。
目次よりお好きな項目からご覧いただくこともできます。
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プチグレンはどんな植物からとれる?
パラグアイ原産の植物、ビターオレンジから抽出します。
ビターオレンジの木からとれる3種類の精油のうちの1つです。
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柑橘系ながらビターなプチグレンの香りは
心を軽く解き放つ
ハーブの香りを漂わせたフレッシュな柑橘系。
葉を揉んだ時の青臭さと、ほのかに甘いフローラル調が融合した個性的な香りです。
同じ植物から抽出されるため、どことなくネロリを思わせますが、ややドライで軽やか、親しみやすい印象です。
プチグレンってどんな精油?
「小さな(Putit)粒・穀物(grain)」という意味のこの名前は、昔、粒のように小さく未熟なオレンジの果実を蒸留して精油を得ていたことに由来しています。
知名度は低いかもしれませんが、ストレスを緩和させる働きに優れ、とても利用価値が高い精油です。
不安な気持ちを和らげ、呼吸を楽にしたり筋肉のけいれんを緩和したりといった効果をもちます。
香りと働きは似ているものの、ネロリより安価で穏やかに働くため、スキンケアや香水の原料として人気です。
強い落ち込みについてはネロリのほうが効果的だといわれています。
そして見逃せないのは、「酢酸リナリル(Linalyl acetete)」が40%以上も含まれていること。
酢酸リナリルにはセロトニンを誘発する効果があるといわれています。
酢酸リナリルを多く含む精油にはラベンダーがありますが、実はラベンダーよりプチグレンの方が酢酸リナリルが多く含まれています。
詳しくは、下記ページ内の「世界中で注目されている「酢酸リナリル」」をご参照ください。
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そのため、既に香りに親しんでいる方もいらっしゃるかと思います。
学名:Citrus aurantium(キトゥルス アウランティウム)
Citrus vulgaris(キトゥルス ウルガリス)
科名:ミカン科
抽出部位:葉、若い小枝
抽出法:水蒸気蒸留法
主な芳香成分(一例):
エステル類 52.5%
(酢酸リナリル 40~55%、酢酸ゲラニル 5% アンスラニル酸ジメチル 微量)
アルコール類 31%
(リナロール 20~30% α-テルピネオール2~10%)
モノテルペン炭化水素類 10%
※精油の含有成分や割合は、産地や気候などにより異なります。
プチグレンが採れる植物はビターオレンジ以外にも
ビターオレンジ以外の柑橘の葉から抽出されるプチグレンもあります。
植物の違いにより、香りと価格、働きに多少の違いがあります。
プチグレン・マンダリン | プチグレン・レモン | プチグレン・ベルガモット |
アンスラニル酸ジメチルを50%以上 | シトラールを50%程度 | リナロール50%程度とアンスラニル酸ジメチル |
抗不安作用が強い | 鎮痛、血圧降下、鎮静作用 | プチグレン・ビターオレンジと類似 |
リラクゼーションに最適なプチグレン
1日中気持ちが張り詰めていて眠りも浅く、「休息」こそがまず必要な人に。
主要成分には鎮静、鎮痛、鎮痙作用があり、また、副交感神経の強壮と抗不安作用をもつアンスラニル酸ジメチルも含まれています。
副交感神経の働きを高めて自律神経のバランスを調整する香りが、心と体のスイッチを切って休息モードに切り替えてくれます。
心身の緊張を解きほぐし、睡眠をサポートし、消化促進、免疫を強化してくれます。
鎮静作用があり、怒りやパニックを鎮め落ち込んだ心をリフレッシュしてくれるほか、デオドラント作用もあり、アロマバス(沐浴法)に最適です。
心を浄化し平和をもたらす 心への作用
中枢神経を抑制する作用が強いため、不安や落ち込みなどのネガティブな感情で心が落ち着かないときや、安心して眠れないときに助けになります。
プレッシャーや心配事、不安で押しつぶされそうな時に、情緒を安定させ、乗り越える心の強さを与えてくれます。
鎮静と高揚の両方の作用を持ち、怒りとパニックに襲われたときはそれを鎮め、落ち込んだ時には自信を持たせてくれるなど感情のバランスをとるように働きかけます。
ネロリの香りが強すぎるという人に適しています。
今回はプチグレンを活かしたバスソルトレシピを2種ご紹介します。
バスソルトレシピ(2種)
こんなときに:興奮、不安、心配、緊張、うつ状態、怒り、動揺、精神的疲労、不眠、自律神経のアンバランス、心身の緊張、精神不安 など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法、ルームフレッシュナー、香水 など
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ストレス性の不調に 体への作用
ストレスからくる消化器や循環器の不調に役立ちます。
例)消化不良、痙攣性の胃痛、疼痛を伴う下痢、便秘、動悸、不整脈、コレステロール過多など
痙攣を伴う咳を鎮める作用があるため、風邪の時にはユーカリ(グロブルス種、ラディアータ)やサイプレスとブレンドしてみましょう。
アレルギー性の咳や喘息の予防には自律神経系調整、免疫強化、ストレスを緩和する精油を取り入れることがポイントとなりますので、プチグレンも有益です。
不安感から不眠がちになっているときに心身を落ち着かせて、心拍数が上がるのを防いでくれます。
また、免疫機能を刺激して、体の抵抗力を高めるように働くため病後の回復にも役に立ちます。
こんなときに:動悸、不整脈、高血圧、消化不良、胃痛、嘔吐、しゃっくり、月経痛、月経前緊張症(PMS)、便秘、下痢 など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法、ルームフレッシュナー など
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活性化させて美肌を叶える 肌への作用
細胞レベルで作用し、肌を綺麗にするなどネロリと同様の美肌効果を期待できます。
皮脂分泌が過剰な脂性肌や頭皮を清浄にし、ニキビを防ぐよう働きかけます。
皮膚の組織を再生し傷の治りを早め、傷跡を残りにくくし、また老化によるシミを予防します。
こんなときに:過度の発汗、傷、デオドラント、ヘアケア、スキンケア、ニキビ、脂性肌、老化肌 など
利用用途:トリートメント法、手作りコスメ など
香りに深みを加えるプチグレン ブレンドのコツ
香りのタイプ:フローラル系、樹木系、※シトラス系に分類されることもあります
香りのノート:トップ~ミドル
香りの強さ:中
相性のいい精油:イランイラン、スイートオレンジ、カルダモン、サンダルウッド、シダーウッド・アトラス、ゼラニウム、ベルガモット、サイプレス、カモミール、ラベンダー、ローズ、ローズウッド など
柑橘系主体のブレンドに少量加えると、香り全体に深みを与えます。
ミドルよりのトップノートであり、トップノートのシトラス系とミドルノートのフローラル系を上手に調和してくれます。
パチュリ、ベチバー、クローブ、樹木系の精油など重厚な香りとも良く合い、男性用の香水にもむいています。
なお、強すぎると青臭さや渋さが目立ってしまうため、少量で調整しましょう。
プチグレンに期待される作用
緩和作用
血圧降下作用
健胃作用
抗ウィルス作用
抗うつ作用
抗炎症作用
抗菌作用
抗不安作用
自律神経調整作用
神経強壮作用
精神安定作用
鎮痙作用
鎮静作用
皮膚組織活性作用
瘢痕形成作用
他
薬理作用について詳細はこちらをご参照ください。
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【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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プチグレンの使用にあたり気をつけること
リラックス作用に優れた精油のため、車の運転や集中したいときは使用を避けましょう。
おわりに
プチグレンは利用価値の高い精油
プチグレンは、優しい作用と優れたリラクゼーション効果で利用価値の高い精油です。
ココがおすすめ
- 緊張を解き、心身を休息モードにしてくれる。
- 疲労感の強いときに回復を促す。
- 感情を安定させるよう働き、イライラを鎮め落ち込みや不安を和らげる。
- 自律神経のバランスを整え、安眠へ導く。
- ストレス性の消化器・循環器系の不調に。
- 過剰な皮脂の分泌を抑え、脂性肌や頭皮を清浄に保つ。
- 肌を丈夫にし、活性化させ傷跡を薄くする。
プレッシャーや重荷を抱えがちな人に、ぜひ役立てていただきたい精油です。
次におすすめの記事はこちら
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。