妊娠中のアロマテラピーは可能ですか?
「妊娠中の不調こそ薬に頼りたくない。」
「あれ?でも、妊娠中ってアロマはだめなの?」
妊娠中の体調はデリケートだから、いつもより一層気になりますよね。
結論からお伝えすると「精油と利用方法によるけれど、無理はしない範囲で」となりそうです。
「ん?つまりいいの?悪いの??」と疑問に思う方、気持ちはとってもよくわかります。
はっきりした回答が欲しいのに、「すっきりしない」表現が多いこの疑問。
私も、自分の体で試したりアロマの経験を積んだからこそ、こういう表現になってしまうのも仕方ないなぁと理解できる部分があります。
今回はなるべく信頼できる情報を明示しながら、私なりの考えをお伝えしてみたいと思います。
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アロマテラピーは精油の利用が前提
アロマテラピーでは、必ず精油(エッセンシャルオイル)を用います。
アロマテラピーを試してみよう!と、利用に適さない人工香料を選んでしまっていませんか?
人為的な加工が加えられた香料(アロマオイルやフレグランスオイルなど)はアロマテラピーでは使用しません。
アロマテラピーとは、また精油とその他の香料との違いについて、詳しくは下記をご参照下さい。
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【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、初めての方はこちらをあわせてご一読ください。
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アロマテラピーのルール(精油を安全に活用するために)
アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...
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精油が心身に与える影響は利用方法によって大きく違う
精油の芳香成分の分子量は大変小さく、胎盤を通過できるといわれています。
そのため、妊娠中は精油の芳香成分・作用をしっかり確認したうえで取り入れることが大切です。
なお、精油が心身に及ぼす影響は、利用方法によって大きく異なります。
香りを焚いて楽しむ方法(芳香浴法)では、香りによる脳への刺激はありますが、体内に精油成分が取り込まれる量はごく微量。
入浴に精油を用いる方法(沐浴法)では、全身浴で5滴以下と精油の量が決められていますし、呼吸や皮膚から体内に入る精油成分の量もまたさらに限られます。
一方、アロマトリートメントは、精油の濃度が1%と定められているとはいえ、肌から精油成分を吸収することになるため影響力は大きくなります。
AEAJ「妊娠中は芳香浴を」
アロマテラピー検定を主宰するAEAJでは、妊娠中に芳香浴以外のアロマテラピーを行う場合は注意を促しています。
妊娠中の場合
AEAJが紹介する方法でアロマテラピーを実践して、妊婦に重大な事故が生じたことは、現在までに報告されていませんが、妊娠時は体調に考慮し、芳香浴法以外のアロマテラピーを楽しむ場合は十分注意してください。アロマテラピートリートメントを受ける場合は、医師や経験を積んだ専門家に相談しましょう。
AEAJ:安全に楽しむためにより引用
妊娠中に行うアロマテラピーの注意点
AEAJでは、妊娠中は体調に考慮し、芳香浴法以外のアロマテラピーを楽しむ場合は十分ご注意いただくようご案内しています。これまでにAEAJ公式サイト掲載のアロマテラピーの利用法や『アロマテラピー検定 公式テキスト』に紹介されているようなアロマテラピーを実践して、妊婦に重大な事故が生じたことは、報告されていません。しかし、アロマテラピートリートメントを受ける場合は、主治医や経験を積んだ専門家に必ずご相談ください。また、芳香浴でも、違和感や不快感がある場合にはすぐに中止してください。
なお、アロマテラピー検定で対象とされている精油は下記の30種。
上記から読み解くに、下記の30種の芳香浴法であれば可能、となりますね。
その他の専門機関・書籍の見解
国際アロマセラピスト連盟(IFA)では、妊娠初期は、低濃度での柑橘系の精油(スイートオレンジ、レモン、グレープフルーツなど)の芳香浴、沐浴法を提案しているようです。
鮫島浩二医師の書籍では、たとえ通経作用のある精油であっても、精油の芳香浴での利用は、胎児や妊婦の体調に重大な悪影響を及ぼすことはないとしています。
通経作用 → 月経(生理)を誘発し、周期を規則的にする働きのこと。
※精油はお薬ではありませんが、心身に働きかける力は持っています。
鮫島浩二医師は、日本アロマセラピー学会認定医でさめじまボンディングクリニックの院長を務めておられます。
下記の本は、ピンポイントに知りたいことが分かりやすく説明されています。
生活の木では、妊娠中のリラックスに適したブレンドエッセンシャルオイルを販売しています。
使用上の注意には、体調に気を配ることと低濃度で試すことなどが書かれています。
妊娠中は嗅覚が敏感になる(閾値が低くなる)といわれていますから、普段より少ない量で十分だと思います。
妊娠中に安心して使える精油で作られている点が初めての方には安心ですね。
妊娠中に心地よく感じられる精油は、その人を生涯にわたってサポートしてくれるといわれているんですよ。
アロマテラピーの老舗・ニールズヤードでは、心配な場合は医師に相談としたうえで、妊娠中もスキンケア商品を使うことができるとしています。
※下記リンク先でご確認いただけます。
妊娠の初期・中期・後期でそれぞれ適した精油があります。
妊娠期間中の芳香浴以外の方法を試したい場合は、医師や専門家に相談してみてください。
個人差があるために「絶対大丈夫」とは言えない
前項までを根拠にして、私は「妊娠中は芳香浴を楽しみ、妊娠後期・出産時には有資格者のアロマトリートメントを受けたい」と思っています。
アロマやハーブを取り入れて健やかな出産・子育てを叶えているアロマセラピストを多々知っていることもあります。
とはいえ、どうしても個人差があるため、結局ご自身の判断にお任せするほかありません。
例えば、私はそばのアレルギーがあるため口にしないよう気をつけています。
けれど、アレルギーを持たない家族や友人がお蕎麦を選ぶときに「食べたら危ない!」と止めることはありません。
「おいしそうだなぁいいなー」って見てしまうことはありますけれど、そんな程度だと思うのです。
お蕎麦をおいしく召し上がれる方もいれば、私と同様に食べなければ大丈夫という方、蕎麦をゆでる湯気もダメ!という方。
個人差はあるものの、割合で考えると99.908%は食べても問題ないそう。
食物アレルギー体質をもつ方は全人口の1~2%(乳児に限定すると約10%)。
そのうち、そばアレルギーは4.6%なので、全人口からするとそばアレルギーの人は0.092%。
100%大丈夫ではないし私は食べられないけれど、そばアレルギーを起こす可能性は低いと思うから止めません。
食品と比較するとアロマテラピーは圧倒的に臨床例が不足しているため、上記のように数字を出すことはできません。
ただ、そういった万一を考慮し、AEAJにてガイドラインが定められていたり、製品には使用上の注意が記載されています。
結局、私個人としても「絶対大丈夫!」とは言い切れない、歯切れの悪い言い方になってしまいますが。
人の体の仕組みはまだまだ分からないことも多いのですから、信頼できる情報を多く見聞きし、ご自身がよいと感じるものを検討していただきたいです。
今は妊娠中の芳香浴を取り入れたいと思っていますが、最適かどうかはその時の体に聞きながら進めていくつもりです。
【参考】 イギリス発祥のバッチフラワーレメディ
アロマテラピー以外にも、作用が穏やかなハーブや心のケアに特化したバッチフラワーレメディなどさまざまなセラピーがあります。
特に、バッチフラワーレメディは妊娠中のストレスケアにとってもおすすめ。
(私はバッチ国際教育プログラムレベル3修了者です。)
妊娠中でも赤ちゃんでも使えるほど安全で、依存性・副作用がありません。
その方の心理状態に適切なレメディが選べたら、驚くほど強力にサポートしてくれます。
レスキューレメディはつわりがひどくストレスになっているときや出産時に。
自然と心が穏やかで落ち着いた状態に戻ります。
スプレータイプが使いやすく、私は常にバッグに入れています。
その他、体の変化に心がついていけないように感じるときにはウォルナット、
妊娠・出産に対する不安があるならミムラス、
赤ちゃんのことで頭がいっぱい!というときにはレッドチェストナットなど、さまざまな心理状態に最適なレメディーがあります。
初めての方にはこちらの本がわかりやすいので、よければご参照ください。
おわりに 自分にとって最善を選んで
今回は、妊娠中のアロマテラピーについて解説してきました。
組織によって見解にはわずかに相違がありますが、AEAJでは指定する精油(30種)の芳香浴は制限しておらず、芳香浴以外で取り入れる場合には専門家や医師への相談を促しています。
アロマテラピーはリラクゼーションのためにあるのに、心配やストレスがあっては本末転倒。
信頼できる情報から学び、不安や心配があれば遠慮せず経験を積んだ専門家や医師に相談し、どうぞ最善の方法を探してみてください。
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。