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精油を抽出する方法

07/05/2020

精油ってどうやって作られる?~精油を抽出する方法~

精油の抽出には、圧搾あっさくや蒸留などの特殊な方法が使われます。

精油の抽出法は、原料となる植物の特徴によって異なり、どの部位から抽出するか、どの抽出方法をとるかによって精油の生産量(収油率しゅうゆりつ)、香り、作用、価格が変わります。

原料植物に対し抽出できる精油の量の割合収油率といいます。 収油率が低いということは、それだけ多くの原料植物が必要であることを意味し、高価な精油となります。

例えば、ビターオレンジの木は、果皮からビターオレンジ(圧搾法)、葉からプチグレン(水蒸気蒸留法)、花からネロリ(水蒸気蒸留法)と、3種類の精油が抽出できますが、花の収油率が最も低く、高価になります。

水蒸気蒸留法

もっとも一般的な方法であり、多くの精油に使われています。

  1. 原料植物を蒸留釜に入れ、水蒸気を吹き込んで加熱します。
  2. 熱で精油を蓄えていた細胞が壊れ、芳香成分が放出され揮発きはつします。
  3. 芳香成分を含んだ水蒸気を冷却管で冷やし液体に戻します。
  4. 水に溶けずに浮いてきた精油を分離します。

一般的に、精油は比重が1より小さい(軽い)ので、精油は水に浮きます。

残った水には、水溶性(水に溶けやすい性質)の芳香成分が微量に溶け込んでいます。

これをなどフローラルウォーター(芳香蒸留水、ハイドロレート)といい、化粧水や基材として使われます。

この方法では、水と100度の熱にさらされるため化学変化を起こすことがあり、植物によっては適さないものがあります。

蒸留釜に植物を入れ、水蒸気を吹き込んで加熱する(蒸す)方法(steam distillation)と、蒸留釜に水と原料となる植物を入れて直接加熱する(沸騰させる)方法(water distillation)があります。

圧搾法(expression)

柑橘類の果皮から抽出する場合に使われる方法です。

圧力をかけてしぼって抽出するため、この名がつけられています。

高品質なものは果皮と果実を分けて果皮だけを圧搾し抽出します。

加熱しないため芳香成分の化学変化がなく、自然なままのフレッシュな香りが楽しめます。

しかしながら、変化しやすい成分が多く含まれること、また、原料植物の搾りかすなど不純物が混入する可能性があることから、他の製造方法で抽出された精油に比べると劣化が早くなります。

また、光毒性の原因となるフロクマリンが含まれます。

圧搾法で取られた精油をスキンケアに使用したい場合は、フロクマリンを取り除いた精油フロクマリンフリー)を選ぶと良いでしょう。

油脂吸着法

繊細な花の香りを得るために古くからおこなわれていた伝統的な方法です。

油脂が芳香成分を吸着する性質を利用する方法で、無臭にした牛脂(ヘット)や豚脂(ラード)、オリーブ油など用います。

  1. 常温で固形の油脂の上に花などを並べる(冷浸法/れいしんほう/アンフルラージュ)または、60度から70度に加熱した油脂に花などを浸す(温浸法/おんしんほう/マセレーション
  2. 芳香成分を高濃度に吸着し、飽和ほうわ状態になった油脂(ポマード)にエタノールを加えて芳香成分を溶かし出す
  3. エタノールを除去して精油を得ます

例えば、冷浸法(アンフルラージュ)では、ポマードを得るために、手作業で新しい花と取り換える作業が1か月ほど必要となるなど、大変な手間と時間がかかるため近年ではあまり行われていません。

この方法で得られた精油を「アブソリュート」といいます。

溶剤抽出法(solvent extraction)

ジャスミン、ローズ、フランキンセンスなど、熱に弱い花や樹脂を原料とする精油に使われる方法です。

油脂吸着法に代わって利用されるようになりました。

  1. 原料植物を有機溶剤(石油エーテルやヘキサンなど)に浸し、芳香成分を溶剤に吸着させます。
  2. 溶剤を蒸発させ、精油の成分を含んだ固形ワックス(コンクリート)を作ります。
  3. コンクリートをアルコールに混ぜて芳香成分だけを抽出します。
  4. アルコールを除いて精製し精油を得ます。

得られた精油は、アブソリュート(花、葉)またはレジノイド(樹脂)と呼ばれ他の精油を区別されます。

この方法では、水蒸気蒸留法では抽出されにくい成分や色素、ロウ成分なども含まれ、生産量もやや増えます。

以前は有機溶剤の残留懸念けねんされ、敏感肌の方への使用は控えられました。

現在、アロマテラピーで使われているものに、ローズアブソリュートやジャスミンアブソリュート、ベンゾインレジノイドなどがあります。

「ダマスクローズAbs.」など、アブソリュートは「Abs.」で表記されることもあります。

超臨界流体抽出法

近年になって開発された新しい抽出法です。

液化ガス(二酸化炭素やブタンなど)を溶剤として用いるため、低温で抽出でき、植物そのものに近い香りを得られます。

また、液化ガスに二酸化炭素を使用する場合は毒性物質が含まれる心配もなく、安全性が高くなります。

しかしながら、装置が高価であり一般的ではありません。

  1. 芳香植物と液化ガスを専用の容器に入れ、高い気圧を加えて気体と液体の中間である流体状態(超臨界状態)にします。
  2. 液化ガスが花などの芳香植物に良く浸透・拡散して、芳香成分を取り込みます。
  3. 圧力を戻すと、液化ガスは気化して芳香成分だけが残ります。

この方法で得られた精油を「エクストラクト」といいます。

コーヒーや緑茶、紅茶からのカフェイン除去や生薬の有効成分抽出など、食品、飲料の分野でも利用されています。

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