スイートオレンジ(Sweet orange)の
効果・効能とおすすめの使い方
一番導入しやすい精油といわれることがあるけれど、説得力があるわ。
あと、マンダリンもいいと聞いたんですけど、オレンジとどう違うんでしょう?
詳しく説明していきましょうね。
こんな疑問にアロマセラピストがお答えします
- スイート?ビター??オレンジには種類がある?
- マンダリンとスイートオレンジの違いが知りたい!
- 光毒性はあるの?皮膚刺激や注意点を教えて
- スイートオレンジに期待できる効果・効能を教えて
- スイートオレンジはどんな使い方ができる?
- 相性の良い香りはある?ブレンドのコツを教えて!
スイートオレンジは万人に好まれる魅力的な癒しの香り。
ぜひ自信をもって扱えるようになりましょう♪
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【美のシンボル】黄金のリンゴは実はオレンジだった!?
オレンジは樹高10mほどに育つ常緑高木です。
語源はアラビア語の呼び名であった「ナランジ」。
スイートオレンジは遺伝子上では、25%がポメロ(ブンタン)で75%がマンダリンの交雑種と考えられています。
精油は果皮の外側に見られる小さなつぶつぶの中に入っています。
16世紀にポルトガル商人によって地中海地方に伝えられた経緯から「ポルトガルオレンジ」とも呼ばれます。
アラブやヨーロッパでは、古くから食用や薬用に用いられてきました。
美のシンボルとされ、ギリシャ神話の中で最も美しい女神・アフロディーテにささげられた黄金のリンゴは実はオレンジのことだったとも。
オレンジはたくさんの実を一度につけるため、かつてアラブ社会やヨーロッパ社会では富や豊かさの象徴とされました。
フランスのベルサイユ宮殿には今もオレンジ園が残されています。
ハーブクラフトの一つとして楽しまれている「オレンジ・ポマンダー」は、オレンジに殺菌・防腐・抗菌作用の働きのクローブを突き刺し、スパイスをまぶして、自然乾燥させたものです。
現在は、クリスマスに部屋に飾って楽しむものとなっていますが、中世ヨーロッパでペストが大流行した際には、悪臭の改善のほか、病気の予防、魔よけのために使用されていました。
現在ではオレンジの栽培はアメリカの重要な産業です。
【スイートオレンジの香り】
元気と明るさに満ちた太陽のイメージ
オレンジの皮をむいたときに漂うフレッシュな香りそのもので、誰もが知っているなじみやすい香りです。
柑橘系特有のこころよいリフレッシュさせる香りが気分を明るく元気にしてくれます。
使用する場所を選ばず、お年寄りから子どもまで性別、年齢を問わずに好まれます。
芳香浴からトリートメント、お掃除までさまざまな用途に使えるため、初めての方にもお勧めしたい1本です。
不安や緊張を和らげるスイートオレンジ精油
リフレッシュ・リラックス効果が高く、不安や緊張を和らげたいときにおすすめの精油です。
安眠効果に優れるほか、消化器系を刺激し胃腸の働きを助けます。
血流を促進する作用は、手足の冷え、肩こりの改善にも役立ちます。
スイートオレンジの精油は、ジュース用に果汁を絞るときに果皮から採ることができます。
そのため、比較的安価というメリットから、香水・食品産業でも広く利用されています。
柑橘系の精油の中では最も光毒性が低いところも魅力です。
原料植物名:スイートオレンジ
科名:ミカン科
学名:Citrus sinensis(キトゥルス シネンシス)
主な産地:イタリア、スペイン、ブラジル、アメリカ など
抽出部位:果皮
精油製造法:圧搾法
色:淡い黄色
主な芳香成分:オクタナール、シトラール、デカナール、リナロール、リモネン
支配星:木星
五行:肝
参考 スイートオレンジの肌への刺激性が気になる方へ
スイートオレンジは、注意を要する成分グループ(ケトン類、アルデヒド類、フェノール類)の含有量は非常に少なく、安全性は高いと言えます。
ただ、モノテルペン系炭化水素類のリモネンが95%程度含まれている点は考慮する必要があります。
リモネンには、優れた抗菌・抗ウィルス作用や胃腸の蠕動運動を促進する効果がありますが、一方で下記の性質もあります。
ココに注意
- 高濃度で使用すると皮膚刺激がある。
- 反応性が高いため酸化しやすく、酸化したものは皮膚刺激を起こす。
皮膚刺激に対する注意
精油成分の一部には、皮膚表面から精油成分が浸透した時点で、皮膚組織や末梢血管を直接刺激し、炎症、紅斑、かゆみなどの反応を起こすものがあり、これを皮膚刺激と呼んでいます。
私は乾燥・敏感肌ですが、スイートオレンジを5滴使用したバスソルトは問題なく使えます。
なお、試しに開封後6か月以上たっているスイートオレンジをバスソルトにして使ってみたところ、3滴ほどでも肌にピリピリした刺激を感じました。
希釈の甘さではないか?と、再度無水エタノールでの希釈に注意し試しましたが、2回目も同様。
湯船につかっているときから浴室を出た後も、赤みなどの異常はないものの、チクチクとした痛みがしばらく続きました(数時間後に症状は消失)。
つまり、酸化したリモネンが皮膚刺激をもったのではないかと考えられます。
通常、精油は1年以内が目安ですが、柑橘系の精油の目安は6か月。
ほかの家族は平気だったため個人差はありそうですが、精油の保管状況、開封後の期間には気を配りましょう。
肌に違和感を感じた場合は、大量の清潔な水で洗い流しましょう。
赤み、発疹など異常がある場合は、医師の診察を受けてください。
酸化した精油は肌には使えませんが、芳香浴やお掃除に使う分には問題ありません。
蓋をあけておいておけば芳香剤に、重曹に混ぜればクレンザーとしても使えますよ。
スイートオレンジは光毒性がある?
アロマテラピー検定を主宰しているAEAJは、スイートオレンジには光毒性の恐れはないとしています。
フロクマリン類の中でも、特に強い光毒性作用を持つ成分は「ベルガプテン」。
光毒性を引き起こすかどうかは、このベルガプテンの量に大きな影響を受けると考えられています。
AEAJが行った調査によると、スイートオレンジからはベルガプテンが検出されませんでした。
しかしながら、同じ種類でも抽出部位や抽出方法、原料植物の生育地、収穫時期などによって、ベルガプテンの有無または濃度に変動があります。
そのため、判断に迷うときには、その精油の取扱説明書や成分分析表の記載に従いましょう。
本件については、下記リンク先をあわせてご参照ください。
なお、スイートオレンジとは異なり、ビターオレンジは強い光毒性があります。
ビターオレンジは上級者向けの精油
オレンジと呼ばれる柑橘には、スイート種とビター種の2種類があります。
上記の二つは芳香成分にも違いがあるため、同じ使い方はできません。
精油の取り扱いに慣れるまでは、スイートオレンジを選ぶようにしましょう。
なぜなら、ビターオレンジは光毒性が強いなど、取り扱いには注意が必要となるからです。
ビターオレンジは、ポメロ(ブンタン)とマンダリンの交配により生まれたミカン科ミカン属の常緑樹の果実から得られる精油です。
親しみやすい爽やかなオレンジの香りながらわずかな苦味があり、少し大人な香りです。
スイートオレンジと比較するとビターオレンジに含まれる芳香成分の種類は多く、神経系を強壮する作用は強いです。
精油名が「オレンジ」と記載されていて、スイート種かビター種か判断に迷ったときは学名を確認するようにしましょう。
ココがポイント
スイートオレンジ→Citrus sinensis(キトゥルス シネンシス)
ビターオレンジ→Citrus aurantium(キトゥルス アウランティウム)
ネロリとプチグレンについては、下記のページにて詳しく解説しています。
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マンダリンとスイートオレンジの違いは?
マンダリンとスイートオレンジは、どちらも穏やかな作用と甘くフルーティーな香りをもっています。
2つを比較すると、マンダリンの方がやや繊細な香り。
マンダリンには、アントラニル酸ジメチルという芳香成分が含まれ、不安やうつ状態、神経過敏などよりデリケートな心理状態に適していると考えられています。
ご自身の体質に合ったものは心地よく感じるもの。
作用も大切ですが、迷ったときは頭で判断せず、好きな香りを選ぶと間違いないですよ。
マンダリンの特徴や期待できる効果、おすすめの使い方についてはこちらのページで解説しています。
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【心への作用】心に小さな陽光を広げるような力を持つ香り
考え方が暗くなったり、やる気ができないとき、挫折感を感じるときに。
フレッシュな柑橘の香りは沈んでいた心を開き、自然と明るく前向きになれるよう元気づけてくれます。
完璧主義で仕事熱心な人には建設的なものの見方をさせてくれるようにし、緊張とストレスを払い去ります。
うんざりしたりエネルギーがなくなったりしたときに、気分を明るくよみがえらせます。
リラックス特性は不安により生じた不眠症に効果があり、パニック障害に使われた臨床例も多いです。
主成分のリモネンの作用により、高揚、疲労からの早期回復、緊張の緩和に役立ちます。
小学生を対象とした調査で、気分に好影響を与え、計算ミスが減少する傾向があることが示唆されています。
不安に負けそうになるときには、スイートオレンジの香りを嗅ぐと緊張が和らぎます。
ただし、色を持つ精油なので、ハンカチに直接垂らすよりコットンに垂らして挟み込む使い方がよいでしょう。
マスクに香りをつけて楽しみたい場合は、アロマシールが便利です。
適応:不眠、不安、緊張、パニック、精神疲労、抑うつ、不安、イライラ など
利用方法:芳香浴法、吸入法、沐浴法、トリートメント法、ルームフレッシュナー、手作りコスメ(香水、香油)など
【体への作用】ストレスケアが得意なスイートオレンジ
消化器全般に良く作用します。
蠕動(ぜんどう)運動を促し消化液の分泌を活発にするので、特に消化不良や食欲不振に役立ちます。
ストレス性の胃のトラブルに対し、非常に強力な鎮静効果を発揮します。
腸の不調(下痢や便秘、過敏性腸症候群など)をよくし、胆汁(たんじゅう)の分泌も促進し脂肪の消化を助けます。
※胆汁は、肝臓から分泌される消化液で、脂肪を消化します。
血中のコレステロール値が高い場合、これを低下させる力もあります。
ビタミンCの吸収と同化を促し、体組織の成長と修復に欠かせないコラーゲンの形成を助け、そのリラックス特性と相まって筋肉のさまざまな痛みと骨の弱体化に有効です。
血流促進作用があり、冷え解消と泌尿器系、リンパ系の活性に役立ちます。
体幹の冷えや部分的にのぼせるタイプの症状には特に効果的です。
スイートオレンジが持つ抗菌作用・抗ウィルス作用は、風邪やインフルエンザなど感染症が気になる季節の芳香浴にもおすすめです。
適応:消化不良、食欲不振、便秘、下痢、鼓腸、冷え、不眠、むくみ、めまい、消化器系の不調、肩こり、デトックス、冷え性、のどの不快感、更年期の不調 など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法、蒸気吸入法 など
【肌への作用】セルライトの予防、ヘアケアにも
発汗作用があり、鬱滞(うったい)を生じた肌から毒素をスピーディーに除去します。
脂性肌のお手入れに最適で、ニキビや毛穴の広がりが気になるときには収斂(しゅうれん)作用のある精油とブレンドするといいでしょう。
それと同時に、コラーゲンの形成促進作用と保湿効果は、しわが気になる乾燥肌・老化肌へも使えます。
トリートメントや手作り化粧水などで取り入れてみましょう。
血流促進作用があるため、なんとなく肌がくすんで見えるときや、セリュライトの予防とケアにも役立ちます。
柑橘系の精油全般に言えることですが、毛根を刺激し育毛する効果も高いです。
適応:皮脂分泌の調整、脂性肌、乾燥肌、老化肌、皮膚炎、肌のくすみ、ニキビ、しわ、たるみ、スカルプケア など
利用方法:トリートメント法、フェイシャルスチーム、手作りコスメ など
キッチンでも違和感のない香りなので、アロマスプレーを作っておくとシンク回りのお手入れにも重宝しますよ。
なお、精油は燃える性質(可燃性)があるため火気に注意し、台所での精油の保管は避けましょう。
【ブレンドのコツ】
スイートオレンジはさまざまな香りとブレンドOK
香りのタイプ:柑橘系
香りのノート:トップ
香りの強さ:中から強
相性の良い精油:シトラス系の精油全般、イランイラン、クラリセージ、ジャスミン、ジュニパーベリー、ゼラニウム、ネロリ、ミルラ、ラベンダー、ローズ、ローズマリー、ローズウッド など
ほとんどすべての精油と相性が良いです。
作用は必要なのに使いにくい精油がある場合は、ブレンドエンハンサーとして使用すると香りが緩和されなじみやすくなります。
揮発性がかなり早いので、リラクゼーション効果を狙いある程度香りを持たせたいときは、ベースノートとブレンドして使いましょう。
スイートオレンジに期待される薬理作用
加温(かおん)作用
緩和(かんわ)作用
強肝(きょうかん)作用
強壮作用
去痰(きょたん)作用
駆風(くふう)作用
解熱(げねつ)作用
健胃(けんい)作用
抗ウィルス作用
抗うつ作用
抗菌作用
抗不安作用
消化促進作用
食欲増進作用
神経強壮作用
高揚(こうよう)作用
鎮痙(ちんけい)作用
鎮静作用
鎮痛作用
リンパ刺激作用
他
精油の薬理作用については詳細はこちらをご参照ください。
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スイートオレンジの使用にあたり気をつけること
長期・多量の使用では、敏感な肌を刺激してしまうことがありますので注意しましょう。
光毒性の可能性はかなり低いですが、フロクマリン類が微量ながら存在しています。
気になる方は、塗布後の直射日光を避けるか、夕方以降の利用にすると安心です。
酸化が早い精油のため、6か月以内を目安に使い切るようにしましょう。
果皮から圧搾法で取られたものがほとんどですが、まれに蒸留し得られた精油もあります。
購入する際には、学名、抽出法や抽出部位を確認しましょう。
果皮から圧搾法で得られる精油はオーガニックが安心です。
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おわりに
ほっとするような優しい甘さで安心感を与えるスイートオレンジ
オレンジの皮をむいたときに漂うフレッシュな香りそのもので、誰もが知っているなじみやすい香りです。
気分を明るくする香りで使用する場所を選ばず、お年寄りから子どもまで性別、年齢を問わずに好まれます。
芳香浴からトリートメント、お掃除までさまざまな用途に使えるため、初めての方にもお勧めしたい1本です。
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