ティートリーの香りと働き・おすすめの使い方
「ティートリー(Tea tree)ってお茶の木?」
「すすめられたけど香りがちょっと苦手。どうしよう?」
近年、優れた免疫強化作用や抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用で注目を集めているティートリー。
実際に、第2次世界大戦中には、オーストラリア陸軍や海軍で消毒薬として救急箱に常備されていた歴史があります。
医学が発達した現代においては、精油は薬ではなくアロマテラピーは治療にはなりません。
しかしながら、安全に取り入れられるのであれば活用して損はないと私は考えています。
精油は目的に合わせて作られるお薬とは違い、心身両面に働きかけるため包括的なアプローチが可能なのも魅力です。
ティートリーには、ティートゥリー、ティーツリーといったいくつかの呼び方がありますが、この記事では「ティートリー」との表記としています。
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【専門家の視点で選ぶ】
私がティートリーを検討するケース
私は肌トラブルがあるときティートリーを購入します。
ティートリーは、抜群の殺菌力がありながらも比較的肌に優しい点が魅力。
虫刺されやニキビに直接塗布して使うことが多いです。
虫刺されに使うと跡を残さず早く綺麗に治る気がします。
先日、化膿して赤く熱を持った状態のニキビ(3か所)に使用してみたのですが、3日ほどで全て鎮静し表面に傷を残さずにすみました。
私は自己責任において使用しますが、大変刺激が強いためお勧めできません。
安全面に考慮し、肌ヘは0.5~1%以下に希釈して用いましょう。
あとは、「免疫系の強化」と「呼吸器系の不調のケア」に使います。
免疫系の強化や感染症対策には芳香浴や沐浴法で使います。
家族と過ごす部屋では香りのよさも大切なので、優しい香りになるようにブレンドします。
寝込んでしまったときには、加温作用・解毒を促す作用を持つ精油と組み合わせています。
呼吸器系の不調のケアには蒸気吸入法がおすすめ。
「ちょっと風邪っぽいかも・・・。」
という段階ですぐに使うとそのまま悪化せずに乗り切れたりします。
【どんな植物?】生命力の強いティートリーの木
Point
オーストラリア原産の低木
先住民アボリジニの人々が古くから万能薬として利用してきた歴史を持つ
針のような葉と瓶ブラシのような形状をした黄色い花をつける低木です。
オーストラリアの湿地で生育するフトモモ科のさまざまな低木にティートリーという名がつけられています。
精油を購入する際には学名(Melaleuca alternifolia/メラレウカ アルテルニフォリア)や成分分析表を確認しましょう。
非常に生命力が強い木で、山火事の後でもすぐに芽吹き、幹を切り倒しても2年後にはまた伐採できるまでに成長します。
オーストラリア東海岸の南部を中心に狭い範囲に自生しています。
オーストラリアの先住民・アボリジニの人々は、ティートリーを古くから感染症や傷などさまざま症状に効果のある万能薬として利用してきました。
1920年代、強力な抗菌力を持ちながら肌に対する刺激性が比較的少ない天然の消毒薬として注目を浴び、第二次世界大戦中には熱帯地方の軍隊や軍需工場で感染症の予防や傷の手当てにつかわれました。
抗生物質の発明により一時衰退しましたが、1960年以降のハーブブームで再度その良さが見直されています。
ティートリー(ティーツリー)の名前の由来
ティートリーは発見当初、お茶のように飲まれていたことから「Tea Tree」と呼ばれますが、一般的に広く飲まれているお茶(チャノキ)とは異なる植物です。
先住民アボリジニの人々の薬用茶
1770年、イギリスの海洋探検家ジェームズ・クック(キャプテン・クック)は、エンデバー号でオーストラリア南東部に到達。
先住民・アボリジニの人々が低木の槍(やり)型の細い葉をすりつぶして煎じ、お茶に似た温かい飲み物を作っていたためティートリーと呼ぶようになったとか。
タンニンが豊富で水が茶色に
水中や水辺に生えるティートリー。
タンニンを豊富に含んだ木の葉や枝が水中に落ちると水の色がお茶のように澄んだ茶色になることから、この名がつけられたという説もあります。
ティートリーそのものは料理に使われませんし、当時もお薬として使われていたのかもしれませんね。
【どんな香り?】清潔感が好まれる空間に最適
フレッシュで清潔感のあるすっきりとした香りです。
爽やかな森の香りを演出したいときや、クリアで清潔感のある香りが好まれる用途のブレンドに適しています。
やや苦みがあり、またツンとした刺激のある香りに消毒薬をイメージされる方もいます。
メディカルなイメージを連想させるため、清潔感が大切な空間演出には役立ちます。
「感染症が気になる時期、部屋に使いたいけどこの香りは苦手・・・」
そんな方は、このページの冒頭のブレンド例や後半のブレンドのコツをご参照ください。
ブレンドすることで香りがよくなり使いやすくなりますよ。
【殺菌&免疫で重宝】ティートリーの働き
Point
高い抗菌力は感染症の予防に役立つほかスキンケアにも最適
頭をすっきりリフレッシュさせてくれる作用も。
高い抗菌力を持ち、免疫力を高める働きがあることで知られ、ラベンダーと並んでよく使われる精油の一つです。
ピリッとした鋭い香りは、心に冷静さをもたらすと同時にエネルギーを与え、頭をすっきりとさせてくれます。
芳香浴で用いると、花粉症や風邪、インフルエンザといった感染症の予防に役立つといわれています。
免疫力を高める作用は病後の回復期にも適しています。
強い抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用がありながら、比較的皮膚や粘膜に優しい点も魅力です。
水虫やニキビ、フケなどのケアに効果を発揮します。
また、抗菌・消毒作用は、お掃除にも活躍します。
アロマスプレーを作成しておくととても便利です。
迷ったときには、学名(Melaleuca alternifolia)や成分分析表を確認するようにしましょう。
原料植物名:ティートリー
科名:フトモモ科
学名:Melaleuca alternifolia(メラレウカ アルテルニフォリア)
主な産地:オーストラリア
抽出部位:葉
精油製造法:水蒸気蒸留法
色:透明または薄い黄色
主な成分:1.8-シネオール、テルピネン-4-オール、γ-テルピネン、α-ピネン 他
五:肺
【心への作用】疲労感を拭い去りすっきりさせてくれる
強い刺激・浄化作用を持つ香り。
ショックを受けたときに、心をリフレッシュさせよみがえらせる力があります。
すべきことがあるのはわかっているのに、なかなか手をつけられないときに(精神疲労)。
心と体を強壮しサポートしてくれます。
こんなときに:精神疲労、リフレッシュ、ショック、不安 など
利用方法:芳香浴法、アロマスプレー、沐浴法 など
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【体への作用】「抗菌+免疫にアプローチ」で健康をサポート
免疫力を高めてあらゆる感染症の予防に役立つといわれています。
バクテリア、真菌、ウィルスの全てに対し対抗できる優れた殺菌消毒作用があり、使用範囲が広く使いやすい精油です。
免疫系を刺激し白血球を活性化、体から毒素を排出するよう促すため病気にかかっている期間を短縮させます。
皮膚に対してはもちろん、呼吸器系、泌尿器系の感染症にも有効です。
繰り返す感染症や病後の体の衰弱に対しても効果的で、心身のバランスを整えてくれます。
「家に帰りついてのどが違和感に気づいた。」
「冬はよくのどがイガイガする。」
「職場で風邪が流行ってるから気を付けないと・・・。」
そんな時に手軽にできて効果大なのはティートリーの蒸気吸入法。
詳しいやり方については、下記Instagramで紹介しています。
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鼻詰まりにユーカリやティートリーの精油を1滴ハンカチに落とし、鼻と口を覆ってその香りを嗅ぐと多くの人に改善が見られたとのデータがあります。
抗アレルギー剤と併用される例もあるようです。
ティートリー精油の抗ウィルス作用などに関する論文は下記リンク先よりご確認いただけます。
こんなときに:感染症、呼吸器の不調、鼻炎、冷え性、花粉症、咳、のどの痛み、月経痛、膀胱炎、免疫低下、むくみ、静脈瘤 など
利用方法:芳香浴法、蒸気吸入法、沐浴法、トリートメント法 など
我が家では、花粉症の時期にはマスク用のアロマスプレーを作っています。
ペパーミントは高血圧の方には不向きなため、私はティートリーに抗アレルギー作用も期待できるラベンダーやリフレッシュに最適なレモンなどを組み合わせたアロマスプレーを作っています。
着用前にマスクの内側にシュッとひと吹きするだけで鼻詰まりが楽になると評判です。
ティートリー精油はプラスチックを溶解(ようかい)する可能性があります。
ガラス製の容器を使用する、プラスチック製品に吹き付けて使用しないなど気を配りましょう。
使用頻度が高い場合は手作りする方がコスパがよいですが、材料がお手元にない方は精油を使用したマスク用のスプレーが便利です。
また、精油のみお持ちの方は、1滴落としてマスクの内側に貼って使えるアロマシールが使えます。
マスクに直接垂らすこともできますが、透明であっても精油を垂らした跡がわかってしまうことがあります。
気になる方はシールがよいと思います。
【肌への作用】強力な抗菌力ながら肌にはやさしいティートリー
きわめて浄化力が高いので、ニキビや水虫のケアにおすすめです。
極度の日焼けに対しても、炎症を鎮め感染症を予防するのに役立ちます。
虫刺されにつけると治りを早めます。
ティートリー精油の抗菌作用に関する論文は下記リンク先にてご確認いただけます。
手洗い石鹸を作るにもぴったり♪
私も作成してみて簡単だったので、お子様と一緒に作っても楽しくできると思いますよ。
生活の木オンラインで紹介されている下記の動画がわかりやすかったので紹介させていただきます。
こんなときに:感染症、殺菌、消毒、かゆみ、デオドラント、ふけ、アトピー、やけど、虫刺され、水虫、ニキビ、ヘルペス、虫よけ など
利用方法:トリートメント法、手作りコスメ(化粧水、ジェルなど)
ティートリーに期待される薬理作用
鬱滞除去(うったいじょきょ)作用
去痰(きょたん)作用
強心作用
強壮作用
抗ウィルス作用
抗炎症作用
抗菌作用
抗真菌作用
刺激作用
血流促進作用
鎮痛作用
頭脳明晰作用
発汗作用
免疫強化作用
瘢痕形成(はんこんけいせい)作用
リンパ刺激作用
他
薬理作用について詳しくは「【保存版】精油に期待できる薬理作用一覧」にて解説しています。
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【ブレンドのコツ】ブレンドにフレッシュな印象をプラス
同じフトモモ科の植物(ユーカリやマートル)のほか、柑橘、樹木、ハーブ、樹脂などさまざまな香りと調和します。
ブレンドに少量加えるとフレッシュな印象を与えます。
下記Instagramは、ティートリーを使った芳香浴レシピです。
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【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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ティートリーの使用にあたり気をつけること
妊娠中の使用は避けましょう。
皮膚刺激がありますので、敏感肌の方は使用量を加減しましょう。
古い精油や黄色く変色した精油は刺激性が高くなっている可能性がありますので、肌に使うのは避けましょう。
また、新鮮な精油のほうが皮膚への刺激性が低いです。
購入の際には、なるべく成分分析表と製造年月日を確認しましょう。
おわりに ティートリーは頼れるボディガード
今回はティートリーの香りと働き、おすすめの活用方法やブレンドのコツについてご紹介してきました。
アロマテラピーでできるのはあくまでセルフケア。
しかしながら、アロマテラピーを始めて十数年。
私や家族が、以前に比べ風邪やインフルエンザにかからなくなったのは事実です。
(「健康に関する知識がついた→体調管理が上手になった」からかもしれませんが。)
手洗いとうがい。
そして、お部屋の空気清浄に「+ティートリー」を。
アロマテラピーを上手に活用して、健やかで心地よい暮らしを始めましょう。
次におすすめの記事はこちら
アロマディフューザーについては「【おすすめ】最適なディフューザーの選び方【自分で作る楽しみも♪】」、「【おすすめ】最適なディフューザーの選び方【拡散力が高いのは?】」をご参照ください。
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。