アロマテラピーで使用する基材
じゃあ、何で薄めたらいいですか?
香りを焚いて楽しむだけじゃなく、スキンケアなどいろいろなシーンで使えるように、今回は基材について説明するわね。
精油は原液で肌につけることができないため、希釈する(薄める)必要があります。
この精油を希釈するものを基材、もしくはキャリアといいます。
基材として使われるものは、植物油(キャリアオイル)をはじめ、無水エタノールやクレイ(粘土)などさまざまです。
それぞれの基材の特徴を知り、精油と基材の特性を生かした使い方ができるようになりましょう。
アロマセラピストがこんな疑問にお答えします
- 精油は何を使って薄めたらいいの?
- キャリアオイルってなあに?どんなものを選んだらいいの?
- コスメを手作りするときに使う材料について知りたい
目次よりお好きな項目からご覧いただくこともできます。
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無水エタノールはルームスプレー作りに必須
無水エタノールとは、エタノール(エチルアルコール)を99.5%以上含む無色透明の液体です。
無水エタノールには2つの役割があります。
- 精油を希釈する
- 防腐剤となる
アロマテラピーでは、ルームフレッシュナーを作る際に必要になるほか、バスソルトや化粧水作りでも使います。
直接肌につけないものや掃除・除菌目的のルームフレッシュナー
精油が溶けやすくカーテンなど布製品に噴霧してもすぐに蒸発するよう
- エタノール濃度は20~40%くらい
- 精油を基材全体量に対して2~4%程度
を目安に調整しましょう。
用途:化粧水、ルームフレッシュナー、バスソルトなど
保存:揮発性で燃えやすいことに注意。密栓して火気、湿気、直射日光を避け、冷暗所に保存。
植物油(キャリアオイル)は相乗効果も嬉しい
アロマテラピーでは、植物中の油分を化学薬品を使ったりせず、天然の状態で抽出した植物油のみを使用します。
植物油にもまた2つの役割があります。
- 精油を希釈する
- 植物油そのものの効果を発揮する
植物油には精油を浸透しやすくするほか、ビタミン類をはじめ独自の栄養分を多く含み、保湿や鎮静・殺菌・抗炎症作用などがあります。
なお、植物油にはさまざまな種類があり、それぞれの植物の個性があります。
植物油の特徴をふまえて選んだり、植物油同士をブレンドすることで精油の働きとの相乗効果を得ることができます。
ポイント
例)
ローズヒップオイル 〇シミ予防 ×酸化が早い(傷みが早い)
→安定性に優れたホホバオイルとブレンドすることで酸化を遅らせ、浸透性と保湿力も高めることができる。
初心者は使いやすいホホバオイル、スイートアーモンドオイルなどからトライするのがおすすめです。
用途:トリートメントオイル、化粧水、クリームなど
保存:冷暗所に保存。開封後は3~6か月以内に使用する。
参考
食用オイルは毒性物質は取り除かれていますが、ある程度の不純物が残っています。
なぜなら、味覚物質は不純物に含まれ、すべて取り除かれると味がなくなってしまうから。
食べる分にはOKな不純物も肌に付着すると刺激になるものもあるので、化粧品グレードのものが安全です。
精油をお好みの形にカスタマイズ その他の基材
【天然塩】バスソルトですっきりデトックス
アロマテラピーでは、塩化ナトリウムのほかに各種のミネラルを含む天然塩を使用します。
※精製塩は99.5%が塩化ナトリウム
発汗作用、加温作用があり、主にバスソルトを作るために使用します。
また、抗菌作用と皮膚を活性化させる働きもあるため、美容のために利用できます。
吸湿性があるため、密閉容器に入れて保存しましょう。
用途:バスソルト(入浴剤)、ボディスクラブなど
保存:湿気を避け、密閉容器に入れて保存。
【精製水】ルームフレッシュナーや化粧水に
精製水は不純物を除去した水です。
水道水よりも化粧品の持ちがよくなるため、手作りコスメには精製水を使います。
化粧水にはミネラルウォーターを使用することもできますが、その場合は軟水を選ぶようにしましょう。
その他、ルームフレッシュナーを作成する際にも使用します。
用途:ルームフレッシュナー、化粧水など
保存:冷暗所に保管。開封後は1か月以内に使用。
【クレイ(粘土)】簡単なのに効果抜群クレイパック
大地の地下層からとれる粘土を粉状にしたもので、ケイ酸アルミニウムを多量に含む陶土の一種です。
※陶土とは陶磁器の原料になる粘土
吸収力、吸着力、保護する力、また洗浄力もあり、汚れを綺麗に取り去る働きがあります。
クレイには、カオリン、モンモリオナイト、ガスール(ラスール)などの種類があり、それぞれ採掘された土地によってミネラル成分や吸着性、吸収力などが異なります。
肌質に合わせて選びましょう。
最初は、敏感肌の方にも使えるモンモリオナイトがお勧めです。
用途:パック、入浴剤、ローション、石鹸など
保存:湿気を避け、密閉容器に入れて保存。
【クエン酸】発砲入浴剤を手作りするなら
クエン酸とは、レモン等の柑橘類などに含まれる「酸っぱい成分」です。
酸性の性質を持ち、アルカリ性のものを中和します。
用途:ローション、ヘアリンス、発砲入浴剤、掃除用クリーナーなど
保存:湿気を避け、密閉容器に入れて保存。
【重曹】家事にも大活躍
炭酸水素ナトリウム、ベーキングソーダとも呼ばれます。
除菌、消臭効果があり、脱臭剤、入浴剤等に使われます。
用途:発泡性の入浴剤、掃除、脱臭剤など
保存:湿気を避け、密閉容器に入れて保存。
精油の香りは消臭されない?重曹の消臭効果
重曹の消臭効果は、弱アルカリ性の性質を利用した中和作用によるものです。
そのため、体臭や下駄箱などの酸性の匂いに対して消臭効果を発揮します。
なお、トイレなどのアルカリ臭には効果はありませんので、その場合にはクエン酸を使います。
クエン酸は重曹のように吸着による消臭効果はなく、置いておくだけでは消臭できません。
使用後に都度、クエン酸水を便器内にスプレーしておく使い方が汚れ防止と消臭になります。
【グリセリン】化粧水の保湿力UPに
脂肪や油脂からとれ、無色無臭で粘り気があるアルコールの一種です。
保湿効果が高く、肌の水分を保持する働きがあることからコスメの保湿剤として使います。
用途:ローションなど
保存:火気、湿気、直射日光を避け、冷暗所に保存する。
【芳香蒸留水(フローラルウォーター)】そのまま化粧水としても使用OK
原料植物の芳香成分をわずかに含んだ蒸留水です。
水蒸気蒸留法で原料植物から精油を採取するときの副産物として得ることができます。
フローラルウォーター、またはハイドロラットとも呼ばれます。
用途:クリーム、ローション、パックなど
保存:湿気を避け、冷暗所に保存。開封後は冷蔵庫で保存し早めに使い切ること。
【ミツロウ(ビーワックス)】クリーム作りに
ミツバチが巣をつくるときに出す天然のロウを、巣から採取し精製したものです。
ビーワックスとも呼ばれ、穏やかな抗菌作用と皮膚を柔らかくする作用があります。
また、一緒に使う植物油や精油の成分を皮膚にゆっくりと浸透させて効果を持続させる働きももっています。
オイルを固めてクリームを作るときに使用します。
クリームの固さはミツロウの量で変わり、固くしたいときには増やすなど調整できます。
常温では固形ですが、60~67℃で液状になります。
脱臭・漂泊している白いものと未精製の黄色いものがあり、黄色いミツロウにはわずかにはちみつのような香りが残ります。
用途:クローム、リップクリーム、練香など
保存:湿気を避け、密閉容器に入れて保存。2~3年程度は保存可能。
【はちみつ】栄養豊富で美肌効果も
ミツバチが花から運んできた蜜を蓄えている巣から採取したものです。
主成分はブドウ糖と果糖で、ビタミンやミネラルが豊富で保湿作用もあります。
美肌効果が期待できるほか、穏やかな抗菌作用があります。
1歳以下の赤ちゃんへの使用は控えましょう。
用途:パック、化粧水、入浴剤など
保存:湿気を避け、密閉容器に入れて常温で保存。
【シアバター】肌に潤いを与え乾燥を防ぐ
栄養豊富で薬効に優れた葉と樹脂を持つシアバターの木の実から採取する植物油脂です。
不飽和脂肪酸が肌に潤いを与え、乾燥をしっかり防ぎます。
無香料で、添加物の少ないものを選びましょう。
用途:ハンドクリーム、リップクリームなど
保存:湿気を避け、冷暗所に保存する
【乳化ワックス】乳液も手作りできる
乳液やクリームを作るときに使います。
植物性乳化剤でアロマテラピーショップで購入できます。
水性のものと油性のものを混ぜあわせる働きがあり、乳液やクリームを作るときに使います。
クリームを作るときに使用すると、水と油の分離を防いでソフトな仕上がりになります。
用途:ハンドクリーム、乳液など
保存:湿気を避け、密閉容器に入れて保存する。
【ドライハーブ】アロマクラフトを華やかに
アロマクラフト用にはハーブティー用のものを購入しましょう。
用途:ハーブソルト、ポマンダー、石鹸、ティンクチャ―、入浴剤などの材料
保存:湿気を避け、密閉容器に入れて保存。
おわりに 基材で使い方がぐんと広がる
基材について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
精油+無水エタノール+精製水=気分転換にもリラックス、除菌や家事にも使えるアロマスプレー
精油+無水エタノール+天然塩=バスソルト
精油+クレイ=クレイパック
などなど、基材を覚えると精油を利用する方法がぐんと増えます。
また、一旦始めると「あって当たり前の生活」になってしまうのですが、それは下記の魅力があるから。
- シンプルな材料で続けやすく手ごろな価格
- レシピは無限!季節やニーズに合わせて調整可能
- 手放せなくなる使い勝手の良さ
- 「効いた!という体感が増えていく→使いたくなる」のポジティブな循環
お気に入りの精油は、基材を加えてフル活用してみましょう。
精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。