ベチバー(Vetiver)精油の香りと作用
おすすめの使い方
そしたら あの嫌な虫を寄せつけないとかペットの虫よけにいいとか!
香りを知る前に使ってみたくなっちゃいました。
香水にはよく使われているというけど、精油として使い勝手はどうなんでしょう?
けれど、体調によって好き嫌いは変わってくるから、気になるなら少量買ってみて様子をみてもよいかな。
ベチバーは時間がたつほど香りが良くなるし、実用的な使い方もできるから使い切ると思うわ。
それに、最初にそろえる香りではないかもしれないけれど、そのリラクゼーション効果は格別よ。
ブレンドのコツや使い方を知ればぐっと使いやすくなるから、お伝えしていくわね。
アロマセラピストがこんな疑問にお答えします
- ベチバーってどんな香り?個性的??クセがあるの?
- 香水に使われているって本当?
- ゴキブリを寄せ付けない力がある・・・?
- 猫の虫よけ(ダニ・蚊)には使える?
- 体と心にはどんな効果があるの?
- ブレンドのコツを教えて!
- どんな使い方ができるのか知りたい
目次よりお好きな項目からご覧いただくこともできます。
[toc]
アロマテラピーの効果が気になる方は先にこちらをどうぞ
-
アロマって効果あるの?体に作用する仕組み
アロマテラピーって本当に効果あるの? 体に作用する仕組みから根拠まで徹底解説 【あやふや→すっきり!】 「アロマ ...
続きを見る
ベチバー精油は大地を連想させるエキゾチックな香り
スモーキーでかすかな甘さも感じられる深みのある香りです。
「土」や「大地」を連想させる重厚なエキゾチックな香りです。
パチュリとともにオリエンタルな香料として人気があり、保留剤としてさまざまな香水に使われています。
ベチバーはブレンドに大人っぽさと真の格調の高さを出す役割を担っています。
ベチバーを利かせると男性向けやユニセックスな香水が多くなりますね。
ベチバーってそもそもどんな植物?
熱帯地域に育つ草丈2mほどのイネ科の植物です。
葉にはほとんど香りがなく、精油は根から抽出します。
根は1年で根が2~4mと地下深く網状に張るため、田や畑の畔などの土止めに植えられてきました。
この根は古ければ古いほど取れる精油の質が優れたものになり、精油もまた古くなるほど香りが良くなるといわれています。
昔は、根や葉から扇、すだれ、マットなどが織られ、暑い時には水を振ってその漂う香りで涼をとったといわれています。
また、根は粉末にしてサシェを作り、イガ(衣蛾)その他の昆虫から衣服を守るために使われました。
また、精油は粘性が高く垂らしにくいです。
使用の際は、精油瓶をてのひらで包むように握り、体温で温め緩めると扱いやすくなります。
原料植物名:ベチバー
科名:イネ科
学名:Vetiveria zizanioides(ウェティウェリア ジザニオイデス)
主な産地:インド、インドネシア、スリランカ、ハイチ、マダガスカル
抽出部位:根(乾燥した根)
精油製造法:水蒸気蒸留法
色:赤茶色
主な成分:クシモール、ベチベロール(特徴成分)、ベチボン
忌避率100%!?実験で証明された防虫効果
九州大学農学研究院(福岡市)や福岡久留米市の第3セクター「久留米リサーチ・パーク」、同市の企業「アカル」の共同研究で、ベチバーの根に、ゴキブリやダニなどの害虫を寄せ付けない効果があることが確認されています。
なんと、ゴキブリの忌避率は100%、ダニには66.3%と驚異的な防虫効果!
※下記リンク先の項目「イネ科の根に宿る自然の力!」より詳細をご覧いただけます。
上記の実験では根を使っているようですが、ベチバー精油もまた同じ根から抽出されますので効果がありそうですね。
ベチバー精油は猫の虫よけに使える??
どの香りであっても、猫へ精油は使用しないでください。
鼻の内部の空洞(鼻腔)には嗅細胞というニオイの受容器があります。
この嗅細胞の数と嗅上皮の表面積の大きさが嗅覚の能力を決める1つの要素ですが、下記のとおり猫の嗅覚の能力は人よりもかなり高いのです。
人の場合 嗅細胞の数:4000万 嗅上皮の広さ:切手1枚分程度(2~4㎠)
猫の場合 嗅細胞の数:2億(人の5倍) 嗅上皮の広さ:20㎠(人の5~10倍)
そのため、自然にあるよりはるかに濃縮されている精油の香りを猫はきつく感じてしまいます。
また、近年、猫は精油の代謝能力が十分でないことが報告されました。
※猫は薬物代謝に関与する肝臓のシトクロムP450酵素群の一部とUDP-グルクロン酸転移酵素の働きが弱く、精油使用のリスクが高いと考えられています。
精油は使えませんが、ベチバーの根そのもののであれば、自然にある香りですので使えるかと思います。
なお、使用する場合は体調に異変はないか、不快でないかなど猫の反応をよく観察するようにしましょう。
最初は部屋の隅に置いて大丈夫か確かめるなど配慮してあげてください。
なお、防虫作用は100%ではありませんので下記のようなお薬は継続する方が良いかと思います。
ご心配な場合はあらかじめ、かかりつけの獣医師さんにご相談ください。
地に足をつけ、精神を安定させる 心への作用
優れた鎮静作用から「静寂の精油」 と呼ばれます。
ストレスや緊張を鎮め、心の中の熱を冷まし、高ぶった感情を沈静して精神を安定させる力があります。
精神的に不安定だと感じるとき、気持ちが張り詰めていて感情の起伏が激しく過度な攻撃性があるときや、何かに依存するとき、活動過多の時に適しています。
冷静さを取り戻したいとき、興奮からなかなか寝付けないときは安眠へと誘い、疲労困憊したときは神経の回復をサポートします。
離婚、死別など大きなショックを感じているときには、好きな精油に1滴加えたアロマバスがおすすめです。
こんなときに:興奮、神経過敏、うつ状態、不眠、PMS(月経前緊張症)、ストレス性の症状、精神疲労、不安、不眠、依存 など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント など
病気を寄せ付けず健康を守る 体への作用
中枢神経のバランスをとる働きがあり、病気を寄せ付けず、体を健康に整える力があります。
ストレスや過労が多く、本来備わった免疫が低下してしまったとき、また疲れが抜けにくいと感じるときに最適です。
眠りを助け、体を元気づけてくれます。
血液量を増加させるところから、各種の筋肉痛を和らげることができ、関節炎やリウマチの症状を緩和するのに用いられます。
軽いホルモン様作用もあることから、月経周期を整えたいときや更年期に使えます。
胃腸の働きや吸収する力を高めるため、消化不良のため食事がとりにくくなったときにも役立ちます。
単品で使われることはあまりありませんが、スキンケアにも大変有用です。
少量を他の精油と組み合わせて、ニキビや脂性肌、炎症がある肌、肌荒れ、老化肌に用いられます。
保湿作用に優れており、ドライスキンとしわを改善します。
こんなときに:消化不良、神経性の胃の不調、関節炎、筋肉痛、リウマチ、疲労、免疫低下 など
利用方法:芳香浴法、トリートメント法、沐浴法、スキンケア など
優れた防虫効果を活用 虫よけスプレーやサシェに
防虫効果を利用し、虫よけスプレーなどを作るのもぴったりです。
ゴキブリなどの虫が入ってこないようにするには、コルクや小さな木片などに精油をしみこませたものを侵入口に置いておくと使いやすいかと思います。
クローブ、ユーカリ・シトリオドラ、ラベンダー、ゼラニウムとブレンドすると相乗効果が期待できるうえに香りもよく、アロマスプレーでも使いやすくなります。
また、サシェにしてクローゼットにかけて使うのもおすすめです。
衣替えの際に収納に入れたい場合は、精油を落としたコットンをお茶パックで包んで使うと色うつりの心配がなく、手軽で便利です。
ブレンドのコツ
香りのタイプ:オリエンタル・エキゾチック系
香りのノート:ベース
香りの強さ:強
どの系統の精油ともよく調和し、香りの保留剤として働きます。
時間がたつとさらに熟成されよい香りになるため、ごく少量ブレンドすることで洗練された香りが楽しめます。
なお、ウッディ、アーシー調にしたいときに用いられますが、濃縮された強い香りのため多すぎると全体の印象がベチバーの香りになってしまいます。
ブレンドの際には使用量に注意しましょう。
おすすめのブレンド
精油は一つでも十分な効果を得ることができますが、ブレンドすることで相乗効果を期待できます。
ベルガモット×ローズ×ベチバー
クラシカルな香調で落ち着いた雰囲気のフローラルノート
ベルガモットのみずみずしさとローズの華やかさをベチバーが大人っぽく仕上げます。
高揚と多幸感に心を慰める鎮静作用が加わり、落ち込みやストレスケアにも適しています。
ブレンドの際は、ベチバーを1滴入れた後にローズ、ベルガモットを加え、香りを調整してみてください。
ローズの代わりにネロリを加えても良い香りに仕上がります。
-
-
ベルガモットの洗練された香り
ベルガモットの香りと作用 おすすめの使い方 柑橘系の香りってたくさんあるし、違いがよくわからなくって。 ベルガモ ...
続きを見る
-
-
香りの女王・ローズ精油
ローズ(Rose)の香りと作用 おすすめの使い方 ローズは女性の一生をサポートしてくれる心強いサポーター。 「ロ ...
続きを見る
-
-
傷ついた心を癒し、慰めを与える優雅なネロリ
ネロリ(Neroli) 【専門家の視点で選ぶ】 私がネロリを検討するケース 【どんな植物?】 【ど ...
続きを見る
柚子×ラベンダー×ベチバー
ベチバーが苦手な方にもおすすめ
柚子の甘酸っぱいフレッシュな柑橘にラベンダー、ベチバーが深みを加えています。
柚子を多めにブレンドすると、ベチバーが苦手な方にも抵抗なく安らぐ香りになります。
新学期や新しい生活環境への移行があるときに、焦る気持ちや緊張感を緩めて心を落ち着かせてくれます。
柚子以外の柑橘系やその他、お気に入りの香りを組み合わせても調和します。
私の家族はベチバーの香りが嫌いなのですが、このブレンドで焚いてみたところ不快に感じずよく眠れたようです。
-
-
ラベンダーの香りと作用・おすすめレシピ
ラベンダー(lavander)の香りと作用 おすすめの使い方 アロマテラピーって聞くとまず思い浮かぶのはラベンダ ...
続きを見る
ドライフルーツ×スパイス×シナモン
虫よけのためのアロマワックスバー(アロマサシェ)
アロマバーワックスを作る際に、クローブ(スパイス)やオレンジ(ドライフルーツ)を飾ったアロマワックスにベチバーを入れることもできます。
クローブやオレンジがほのかに香り、相乗効果が期待できます。
もちろん、ラベンダーやゼラニウム、ユーカリ・シトリオドラ、レモングラスなど昆虫忌避効果のある精油を加えるとより強力です。
-
-
ゼラニウムの香りと働き・活用法
ゼラニウムの香りと働き おすすめの使い方 「柑橘の精油は持ってるけど、次に買い足したら便利な精油ってなにがあるのかなぁ?」 「 ...
続きを見る
-
-
ユーカリの香りと働き・活用法
ユーカリ(Eucalyptus)の香りと作用 おすすめの使い方 ユーカリといえば花粉症に感染症対策!   ...
続きを見る
-
-
レモングラスの香りと作用・おすすめ活用法
レモングラス(Lemongrass)の香りと作用 おすすめの使い方 レモングラスといえばトムヤンクン! タイ料理 ...
続きを見る
ベチバーは「今、ここ」を生きるよう促す 私の体感
最初はスイートオレンジやイランイランと組み合わせ、オリエンタルな甘い陶酔感(リゾート感?)を楽しんでいた気がします。
ベチバーをブレンドに1滴加えると、リラクゼーションのレベルがぐっと深くなるように感じています。
香りを焚いて横になると、くったりと力が抜けて、全身が地面と溶け合ってしまいそうなかんじ。
同時に、"土"や"大地"を強く感じさせるような、湿った土っぽい香りは、地に足を付け、根を張り、現実的な思考へと立ち返らせてくれます。
自分の深層心理を深く見つめ、顧みることで本来の自分を取り戻し、俯瞰した視点から自身の状況を把握する。
そのようにサポートしてくれるベチバーは、忙しい毎日の中で静寂を得られる尊い香りです。
ベチバー精油に期待できる作用一覧
鬱滞除去作用
強壮作用
抗ウィルス作用
抗うつ作用
抗感染作用
抗菌作用
抗真菌作用
昆虫忌避作用
催淫作用
鎮痙作用
鎮静作用
通経作用
免疫賦活作用
他
-
-
【保存版】精油に期待できる薬理作用一覧
精油の薬理作用 芳香植物は、魅力的な香りで私たちをひきつけます。 各植物の個性の一つである精油は、植物がその種の生き残りをかけて作り出した物 ...
続きを見る
【必読】アロマテラピーのルール
アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。
アロマテラピーのルール
- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
-
-
アロマテラピーのルール(精油を安全に活用するために)
アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...
続きを見る
ベチバー精油の使用にあたり気をつけること
妊娠初期の使用は控えましょう。
香りが強いので、少量の使用で十分です。
乳児への使用は避けましょう。
おわりに 「大地」を思わせるベチバーの魅力
ベチバーの香りは、単品だと芳香と感じられない方もいるかもしれません。
香りに不安がある場合は、まずは店頭でテスティングし心地よく感じるか(自分の体調に合っているか)確かめてみるか、少量で購入することをおすすめします。
なお、ベチバーは虫よけ効果はもちろん、心を落ち着かせ体を強くし病を遠ざけるなど、嬉しい作用もたくさん。
ぜひ、ベチバーの特性を上手に活かしてみてください。
ベチバー精油の利用方法について
詳しくはこちら
精油にはさまざまな活用方法があり、ご自身が心地よく、手軽に取り入れられる方法を選ぶことができます。
使い方の詳細については、下記ページをご参照ください。
-
-
アロマテラピー利用法
知らなきゃもったいない!アロマテラピー利用法 アロマって香りを焚くだけだし簡単でいいですよね。 ち ...
続きを見る
アロマテラピーの基本的な知識は下記ページでまとめています。
-
-
アロマテラピーの基礎知識
アロマテラピーの基礎知識
続きを見る
精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。